私には、24歳のときに見た、忘れられない夢があります。

その晩、なぜか絵を描きたくてたまらず、赤い絵の具で、大きなスケッチブックに赤い色を塗りたくっていました。筆では足らず、手に赤い絵の具を絞り、塗っていました。

その晩、不思議な夢をみたのです。

夢は3つのストーリーにわかれていました。

 
~最初の夢~

私は森林の中を歩いています。たくさんの背の高い木がたくさんあるところ。
歩いていると、突然雨が降り出して、晴れているのですが、雨は勢いよくたたきつけるように降ってきます。でもその雨は気持ちよいのです。白いコテージがあったので、そのバルコニーに駆け込みましたが、雨はバルコニーにも入ってきます。私はバルコニーを出て、雨がたくさん降るなか、目をあけて歩きだしました。目の中に雨が入ってきますが、日の光がきらきらと美しく、私はとにかく心地よく、森林の中を歩き続けました。


~2番目の夢~

土の壁でできた迷路を私は歩いています。 迷路の角、角に、虹色のお香が、紐でくくられてかかっています。その虹色のお香は『真理』の象徴です。 その『真理』はとてもシンプルなことであり、私はひとつひとつ、その真理を知り、わかり、親指でそのお香をつぶしながら、進みます。 お香をつぶすごとに、ひとつひとつ真理をわかり、とうとう土壁でできた迷路を、私は出ました。

広い土地に出ました。なにもありません。 ずっと向こうから、たくさんの人たちがやってくるのが見えます。古代の人、いろんな人種、いろんな肌の色に、いろんな時代の人たちが大勢やってくるのです。

私は手をふりました。『みんな、一緒にいこう! もうこわくない!』

そして共に歩いていくのです。


~3番目の夢~

真っ暗な場所で、私はだれかと話をしています。 いろんなことを質問し、話あっています。

私は『自由になりたいんです』というと、その人は言いました。『自由になろうとすることの不自由の摂理がある』と。

私は瞬間わかりました。自由になろうとすることは、その意識がすでに不自由だから自由になりたい、と思っているのです。自由になりたい、という意識が強くなることが余計に不自由にさせることの摂理。

なるほど!と、感嘆した瞬間です。   シュワッ!!と音がし、その人と私が入れ替わってしまいました。 そして、私の手のひらには、鍵がありました。 これは、なんの鍵なのでしょう?



そんな3つの夢をみた後、すぐ目がさめた私は、いそいでこの夢を紙に書きました。

なんの意味かはさっぱりわかりませんでしたが、あまりにリアルで、不思議だったので、今でも思い出すのです。


秦 美穂子