ショートシナリオの館

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気ままに会話形式を中心としたストーリーを書いています。

 

茨城県は露地栽培とハウス栽培で、高品質でおいしいトマトを多品種栽培しています。この内、ミニトマトの品種に関しては鉾田市が生産の中心で、JA茨城旭村トマト部会とJAほこたトマト部会が中心となっています。春作と抑制作の2つの作型でほぼ通年で収穫し、年間300トン以上を目指しています。露地栽培の旬は6月~8月の夏です。ミニトマトは高温多湿に弱いので、あまり暑くない時期のほうが甘味や酸味が強くなります。そして、ハウス栽培での甘くておいしい時期は夏から秋にかけてです。ミニトマトには赤や黄色、緑などの色や、丸いものや卵型、イチゴ型などの形があります。品種によって味や糖度も異なりますが、一般的には糖度が高く甘味が強いものが人気です。栽培に工夫を凝らしたフルーツトマトは、果物並みに糖度が高く、8度~9度以上あります。露地もののミニトマトの産地は桜前線のように南から北へ移動していきますから、時期に応じてその時の旬の産地のものを選ぶとおいしいですよ。例えば、冬春トマトは熊本県や愛知県、夏秋トマトは北海道や茨城県などが有名です。ミニトマトはビタミンCやリコピンなどの栄養素が豊富で、美容や健康にも効果があります。美味しく食べる方法としては、生のままサラダやお弁当に入れたり、加熱してパスタやスープなどに使ったりすると良いです。今回は茨城県産のミニトマトの紹介です。

 

<ミニトマトと普通トマト(中玉・大玉)との関係>

トマトは、南アメリカのアンデス地方が原産で、小さくて酸っぱい果実でした。その後、ヨーロッパに伝わり、品種改良されて大きくて甘い果実になる中で、突然変異によって種とゼリーの部分の部屋の数が増え、大きくなったものが出てきて、それが現在の普通トマトの元祖と考えられています。つまり、普通トマトはミニトマトの品種改良品種ではなく、その過程で生まれた突然変異品種なのです。

 

<トマトの生産量ランキング>

1.国別の生産量:1位は中国 62,764,671t  (34.7),2位はインドで19,007,000t

 (10.5)3位はトルコで12,841,990t   (7.1),4位がアメリカ 10,858,990t 
     
 (6.0
)・・・
27位が日本で714,600t  (0.4%)  2019年)

2.国内都道府県別の生産量:

(1)トマトの全品種を含めた生産量:1位は熊本県で132,500t  (18.27%)2位は北海道で65,200t8.99%)、3位は愛知県で49,200t6.78%)、4位が茨城県で47,600t (6.56%)5位は千葉県で32,500t4.48%)でした。(2021年)

  (2)ミニトマト品種の生産量:1位は熊本県33,000t  (22.8)2位は北海道14,700t、(10.2%)、3位は愛知県13,900t9.6%)、4位は宮崎県10,200t、(7.0%)5位は茨城県6,650t(4.6)でした。
 

  茨城県のミニトマト生産の特徴は、露地栽培ものがハウス栽培ものよりも多い

  ことでした 。
 

  2020年度の統計では、露地栽培面積は1,200ヘクタールで、収穫量は15,600t
  一方、ハウス栽培面積は300ヘクタールで、収穫量は4,500tでした。しかし、
  2020年以降にオランダ式コンピューター制御のメガ工場が稼働しましたので、
  現在の露地栽培ものは半分ぐらいになっていると思います。そして、生産量の
  ランキングも上がっているでしょう。

 

トマトの分類>

 トマトは日本だけでも、約340種類が品種登録されています。ここでは果実の大き
 さや用途による分類を記します。

 

    大玉トマト:重さが200g以上になる生食用の品種です。皮が薄く甘みがあるのが
  特徴です。品種には、桃太郎シリーズや王様トマトシリーズなどがありま
  す。

        中玉トマト:重さが4060g程度の品種で、水分ストレスを与えて栽培すると、
 甘さと酸味のバランスが良くなります。品種には、フルティカや湘南ポモロ
 ンなど。

        ミニトマト:重さが1520g程度の品種で、お弁当やサラダに使われます。赤、
 黄色や緑など様々な色の品種があります。品種に千果やアイコなどがありま
 す。

    加工用トマト:果肉部が多く加工に向く品種で、トマトジュースやトマトケ
 チャップに使われます。重さは80100g程度で、形は楕円形で細長いものが
 多いです。品種には、サンマルツァーノやシシリアンルージュなどがありま
 す。

    台木用トマト:根の特性に特化して改良された品種で、果実を収穫するための品
 種ではありません。大玉、中玉、ミニトマトを穂木として接ぎ木をして利用し
 ます。接ぎ木をすることで、台木の根と穂木の果実の両方の特徴を引き出せま
 す。

 

<ミニトマトの品種>

ミニトマトの品種は、日本だけでも約200種類あると言われています。色や形、味や糖度など、さまざまな特徴があります。色系別の品種名と特性を記します。
 

1.赤系ミニトマト:

    ①アイコ:コクのある甘さで、糖度は910度。リコピンが豊富に含まれていま
      す。

    ②プチぷよ:はじける食感で、糖度は910度。果実が大きくて収穫量が多いで
       す。

2.黄系ミニトマト:

    ①イエローアイコ:甘くて風味が良いで、糖度は911度。カロテンが豊富です。

    ②イエローピコ:甘くて控えめな酸味があり、糖度は911度。果実が小さくて
       丸い。

3.黒系ミニトマト:

    ①ブラックチェリー:甘くて濃厚な味、糖度は910度。アントシアニンが豊富。

    ②インディゴローズ:甘酸っぱい味で、糖度は910度。果実が黒紫色で美しい。
 

4.緑系ミニトマト:

    ①グリーンゼブラ:甘酸っぱい味、糖度は810度。ビタミンB6やカリウムが豊
          富。

    ②カプリエメラルド:甘くて風味の良い味で、糖度は810度。果実が小さくて
           丸い。

 

<露地栽培の春作と抑制作の違い>

ミニトマトは一年中栽培できますが、春作と抑制作では栽培方法や収穫時期が異なります。春作とは、冬に種まきをして春に収穫する栽培方法です。抑制作とは、夏に種まきをして秋に収穫する栽培方法です。
 

(1)春作は、冬の低温期に種まきをするため、発芽に時間がかかりますが、春になると生育が早くなります。そのため、春作は発芽から収穫までは約4ヶ月です。気温の上昇に伴って生育が早くなるため、茎が細くなりやすく、支柱やネットなどの支持が必要です。また、日照時間が長くなるため、花が多くつきますが、果実の着果率が低くなります。そのため、収穫量が少なく、果実も小さくなりやすいです。

(2)抑制作は、夏の高温期に種まきをするため、発芽は早いですが、生育は遅くなります。秋には更に気温が下がり生育が遅くなります。そのため、抑制作は発芽から収穫までは約6ヶ月です。気温の下降に伴って生育が遅くなるため、茎が太くなりやすく、支持があまり必要ありません。また、日照時間が短くなるため、花が少なくつきますが、果実の着果率が高くなります。そのため、抑制作は収穫量が多く、果実の大きさも大きくなりやすいです。

 

<露地栽培とハウス栽培の比較>

1.農林水産省によると、2022年度の国内生産量は約10万トンで、そのうち約9
  がハ
ウス栽培でした。ハウス栽培は一年中収穫できるし、収量も高く、品質も
  安定してい
るため、ミニトマトの主流な栽培方法となっています。茨城県もハ
  ウス栽培のメガ工場が稼働しましたので、ハウス栽培のミニトマトが多くなっ
  てきました。

2.ハウス栽培の平均収量は、1平方メートルあたり約10Kgです。露地栽培の平均収量は、1平方メートルあたり約3Kgです。ハウスの方が3倍以上収穫量は多いです。

3.収穫されたハウス栽培のミニトマトの平均単価は、1Kgあたり約300円で、露地
  栽培の
ミニトマトの平均単価は1Kgあたり約200円です。当然ですけど露地栽培
  の方が安
価で栽培できますが、栽培期間は春から秋と制約されます。
 

  以上のことから、ハウス栽培のミニトマトは露地栽培よりも、収量は多いが、しかし、単価は高いことがわかります。運転コストが高いのですね。

 

<ミニトマトの豆知識>

1.        トマトの普及

ミニトマトは南アメリカのアンデス地方が原産地です。コロンブスがヨー
   ロッパに持
ち帰ったとされます。日本には江戸時代に観賞用として入ってき
   ましたが、食用での普及は昭和50年代後半ごろからです。その見た目のかわ
   いらしさと美味しさから人気を集め、全国に普及するようになりました。

2.ミニトマトは、プチトマトとも呼ばれますが、正式にはミニトマトが正しい名
   前です。
プチトマトというのは、家庭菜園でミニトマトを栽培できる種の商
   品名です。

3.ミニトマトと普通のトマトではどちらが栄養価は高いか?  

   ミニトマトです。普通のトマトは皮が柔らかく完熟で収穫すると崩れてしま
   うので
完熟より手前で収穫します。ミニトマトは皮が固く完熟でも収穫出来
   るので、しっか
り栄養を蓄えた状態で収穫します。具体的には、トマト(大
   玉)に対するミニトマト
の栄養価はリコピンが約3倍、ビタミンCが約3倍、
   βカロテンが約1.7倍、食物
繊維が約1.4倍含まれています。

4.栄養価と効能

①ビタミンC:風邪の予防や疲労回復に効果的です。ミニトマト10個で1日に
      必要
なビタミンCの約半分を摂ることができます。

②リコピン:赤色の色素で、強力な抗酸化作用があります。シミやシワの予
      防や、生
活習慣病のリスクを低減する効果が期待できます。

③クエン酸:糖質や脂質の代謝を助ける作用があります。エネルギーを生成し、疲労を回復する効果が期待できます。野菜類の中で含有量がトップクラスです。

④モリブデン:血液を作る効果があります。鉄分の働きを促進し、貧血の予
      防に役立
ちます。ミニトマト10個で1日に必要なモリブデンの約3割を
      摂れる。

⑤カリウム:余分な塩分を排出する効果があります。高血圧やむくみの予防
      に役立ち
ます。ミニトマト10個で1日に必要なカリウムの約2割を摂れ
      る。

⑥葉酸:赤血球やDNAの合成に必要な栄養素です。妊娠中の女性にとって特
      に重要
です。ミニトマト10個で1日に必要な葉酸の約2割を摂ることが
      できます。

 

ミニトマトは生で食べると美味しいですが、加熱するとリコピンの吸収率が上がります。一方で、ミニトマトは体を冷やす食材とされています。冷え性の方は食べ過ぎに注意です。
 

5.フルーツトマト

ミニトマトの中に、フルーツトマトと呼ばれるものもあります。これは、水
   や肥料を
抑えたり、塩分の多い土壌を活かすなどの工夫によって甘味を引き
   出したトマトで、
糖度は8度から9度以上と果物並みの高さがあります。フ
   ルーツトマトは、ブランド
化されているものも多く、高級品として人気があ
   ります。

6. 新鮮でおいしいミニトマトの見分け方

鮮度はヘタと実の表面の状態を見ます。ヘタが濃い緑色をしていて萎れがなく、実の表面にハリとツヤがあるものが新鮮なトマトです。美味しいトマトはずっしりと重みがあり、おしりの部分から放射線状に線が伸びている「スターマーク」のあるトマトが美味しいといわれています。

7.色と栄養素

  ①赤色:天然色素「リコピン」の色です。抗酸化作用があります。

  ②緑色:クロロフィルの色です。美顔効果、デトックス効果がある成分です。

  ③黄色:ルチンの色です。毛細血管を強く丈夫にする作用があります。

  ④オレンジ:βカロテンが豊富。体内でビタミンAに変換されます。

8.1010日はトマトの日

   トマトの栄養価値や美味しさをアピールし、トマトを使った料理の普及をはかり人々の健康増進に貢献することを目的に一般社団法人全国トマト工業会が2005年に制定した日です。10月は食生活改善普及月間であり「体育の日」もあって健康への関心が高まる月です。10と10で「トマト」と読む語呂合わせもあり、この日を記念日としました。

9.トマトに花言葉ってあるの?

トマトの花の花言葉は「感謝」です。トマトをひとつ食べるだけで、さまざまな嬉しい効果・効能が期待されることから、「感謝」という花言葉になったようです。

10.トマトが料理を美味しくする理由

トマトには旨味成分である「グルタミン酸」が含まれており、一緒に料理する食材の旨味を引き出します。さらにクエン酸等のトマトの酸味が肉や魚の臭みを消してくれる効果があるためです。

11.トマトの保存方法

    常温で保存する:冷蔵庫で保存すると味が落ちる可能性がありますので、日陰で涼しい場所に置いて保存します。へたを下にして、一枚ずつ新聞紙などに包んで、重ならないように並べます。この方法で約1週間は保存可能です。

    水に浸けて保存する:水に浸けると鮮度が保たれるという特徴があります。水に浸ける場合は、へたを取り除いて、水を替えないことがポイントです。水に浸けたミニトマトは、冷蔵庫で保存します。この方法であれば、約2週間は保存できます。

 

<県内で生産されているミニトマトの品種>

茨城県で生産されている品種は、茨城県農業総合センター園芸研究所や常磐興産な

どの研究や開発によって生まれたものが多いです。

    あまエル:JAほこたの部会独自のブランドで、営農指導員が畑での糖度検査と味

   の確認を受けてから出荷されるこだわりぶりです。甘くてL(エル)サイズが

   名前の由来で、糖度は約9度。ジュースやドレッシングなどの加工品も販売さ

   れています。

    キストマト:JAなめがたしおさいが手がける、初恋の味がするミニトマトです。

   糖度は10度で、色の種類も多く、果実は小ぶりで可愛らしいです。

    夏娘(なつっこ)トマト:丸種(株)の開発品種です。ナツメのような楕円形

   で、甘酸っぱい味が特徴です。糖度は約8度で、ミニトマトの中では大きめの

   サイズで、食べ応えがあります。

 

<茨城県に日本最大級のミニトマト生産施設が稼働しました>

メガ工場での栽培は水に栄養素を溶かし、根を浸す「水耕栽培」ではありません。コンピューター制御のテクノロジーを使った新しい栽培方法です。
 

1.「たねまき常総」は、茨城県常総市内に日本最大級、約7ヘクタールのミニトマ

   ト生産拠点を完工しました。20232月に完工した大規模なミニトマトの生産

   拠点は、「オランダ・ボスマン社製の最先端ハウス」、「環境に配慮したト

   リジェネレーションシステム」、「1日約5トンの選果能力を誇る先進的な選

   果設備」の3つを導入した次世代型の園芸施設です。他にも最先端の環境制御

   システムを導入し、コンピューターによって、気温や湿度、CO2濃度などミ

   ニトマトの栽培に必要な環境を24時間コントロールするのが特長で、年間約

   1000トンの収量が目標です。現在150人ほどが働いているそうです。
 

2.「常磐興産」は、茨城県北茨城市にミニトマトの大規模農業施設を完成させま

   した。温泉リゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営する同社は、

   石炭を採掘していた常磐炭鉱の跡地を活用しています。ITを活用したスマー

   ト農業で「赤いダイヤ(ミニトマト)」の生産に挑んでおり、面積約18000

   平方メートルのハウスで栽培・収穫しています。化石化した天然サンゴ砂を

   培地に使い、糖度と収穫量のアップを狙っています。年間300トンの生産を目

   指しており、2021119日から出荷を開始しました。

 

<茨城県生産のミニトマトの特徴>

茨城県のミニトマト生産量では全国5位ですが、ミニトマトの生産品種は多い県なのです。そして、生産量も平成30年度の統計では、ミニトマトの生産量は「約3t」で、全国の約3割を占め、第1位だったのです。それだけ盛んでしたから、品種改良の技術も確かで、独自ブランドで「甘さ」「酸味」、「旨味」、「香り」、「食感」などの特徴が高められています。特に、「糖度」が高く、「果皮」が薄く、「果肉」がやわらかいのが特徴です。それだけではありません。茨城県のミニトマトは、「赤色」、「黄色」、「オレンジ色」、「ピンク色」などの色彩豊かなものがあります。また、「丸型」「ハート型」、「プチプチ型」などの形も様々です。

 

茨城県産のミニトマトはトップブランドの果実、是非ご賞味あれ!