※中西 信義さんの言葉を追記・2枚追画いたしました。m(__)m緑・青表記部分
こんばんは。
先週、汎美展を観てきました。
六本木はミッドタウンの出口から国立新美術館へ向かいます。
ミッドタウン
国立新美術館 1Fのカフェ
パンフより
※会期は終了しました。
会場入り口風景
汎美展のポリシーが記されています
審査や賞がなく、自由なスタイルの展示会です。
アンリ・ルソーの絵画を思い出します。
「アンデパンダン展へ行こう」 手持ちのアンリ・ルソーの画集より
アンリ・ルソーも、好んで出展していたアンデパンダン展は、審査や賞がなく出展料さえ払えばどなたでも、出展できる展覧会です
出展者が作品を小脇に抱えて、列を成しているところが描かれています
中西 信義 画 「言葉で遊ぼ&絵で遊ぼ」
文学と絵を融合させた目を惹く作品、今号はこちらを
クローズアップして掲載します。 ※撮影許可有り。
中西 信義 「言葉で遊ぼ&絵で遊ぼ」
「私の心に刻まれている言葉に絵を添えて遊んでみました」
「雀の子 そこのけ そこのけ お馬が通る」
●小林一茶:1763(宝暦13)~1828(文政10)
小林一茶は信濃国柏原で農民の子として生まれた。
「一茶調」と呼ばれる独自の排風を確立して松尾芭蕉、与謝野蕪村と並ぶ
江戸時代を代表する一人となった。
一茶の俳句は「生」をテーマとしていると云われ、苦労続きの人生を反映した
生活苦や人生の矛盾を鋭く捉えた句、
~ これがまあ つひの栖(すみか)か 雪五尺 ~
は、故郷の柏原を詠んだ句である。
~ やせ蛙 負けるな一茶 これにあり ~
~ われと来て 遊べや親の ない雀 ~
~ やれ打つな 蠅が手をすり 足をする ~
などは人情を伝えながら写実的でもあるところが、
一茶の素晴らしいところだと思います。
寅さんの口上にもあったような。
「京の三條の絲屋の娘、姉は十八 妹は十五
諸国大名は弓矢で殺す、絲屋の娘は目で殺す」
●頼 山陽(らい さんよう):1781(安永9)~1832(天保3)
江戸時代後期の歴史家・思想家・漢詩人・文人。詩吟、剣舞でも馴染み深い
「鞭声粛粛夜河を過る」で始まる川中島の戦いを描いた漢詩の作者としても有名。
頼 山陽は俗謡を用いて漢文の起・承・転・結を平易に説明しました。
語呂がいいので覚えやすく、まるで寅さんの口上みたいです。
わらべ歌って、けっこう怖い歌詞がありますよね。
『子とろ、子とろ』、最古の子供の遊び唄・童謡・わらべ歌
「花一匁」だけ買うときに、値段を負けて悲しい売り手と、安く買って嬉しい買い手の様子が歌われていると云われているが、一説には貧しい家の子供が口減らしのために、人買いに一匁で買われていくという悲しい歌として解釈されることがある。
「花」は若い女性の隠語であり、一人が一匁を基本とする値段で行われた人買い、
または鬼(異人)に力づくでさらわれた中世の社会背景に起源があるともされる。
子供の遊びにしては内容が残酷過ぎるとの反論もあります。
偶然、作家(中西)さんがいらっしゃって、ご親切に解説してくださいました。
左側が中西さん、隣が主人
「なみだは にんげんの つくることのできる 一ばん小さな海です」
●寺山修司:1935(昭和10)~1983(昭和58)
寺山修司の一ばん短い抒情詩です。涙や羊水が少し塩辛いのは、人間が海から誕生した名残りともいえます。
そんな「にんげん」のなみだが、一ばん小さな海・・・だなんて、詩的ですね。
ちなみに、アンデルセンの有名な言葉に「涙は人間がつくる いちばん小さな海」という言葉があります。
寺山修司の抒情詩、そのまんまですね(笑)
アンデルセンは19世紀、寺山修司は20世紀に活躍しているので、おそらく寺山が引用したのでしょう。
「てふてふが一匹、韃靼海峡を渡って行った」※韃靼→だったん
●安西冬衛:1898(明治31)~1965(昭和40)
『春』という一度読んだら忘れられない一行詩。
不自由な身体となった安西が、海峡を渡る一匹の蝶に思いをはせ、自らの願いを託したのでしょう。
一匹の蝶が海を渡る、それだけで、想像は無限に広がってゆく。
韃靼海峡(間宮海峡)の冬は極めて厳しいということ、そして厳寒の地にあって春という季節がいかに
待ち遠しいものであるかを考えさせます。
韃靼(だったん)という響きがいいですね。
追画
「わては高知の侠客 鬼龍院政五郎の、鬼政の娘じゃき、
なめたら なめたら いかんぜよ」
●宮尾登美子:1926(昭和元年)~2014(平成26)
『鬼龍院花子の生涯』での、胸にぐさりと突き刺さる「・・・・なめたらいかんぜよ」という名台詞は忘れない。
宮尾登美子は、緻密な構成と時代に翻弄されながらも逞しく生きる女性を描いた作風で多くの読者に支持され、高知の花柳界で育った体験を生かした自伝的作品のほか、
芸道物、歴史物小説もある。この作品は大正・昭和の高知を舞台に、侠客・鬼龍院政五郎(通称・鬼政)とその娘・花子の波乱万丈の生涯を、12歳で鬼政のもとへ養女に出され、約50年にわたりその興亡を見守った松恵の目線から描いた作品である。
夏目雅子演じる松恵は素晴らしく綺麗だった。
展示ルーム付設の休憩室
追画、
こちらは中西さんの、少しブラックな作品です。
「本日はお日柄もよく」
年輩者のお祝いのスピーチでよく聞くことのある言葉。
「日柄」はこの日の「吉兆」と云う意味で、主に大安を指し「縁起がいい日です」という意味。
天気には関係ありませんよ。
私の絵は「本日はお日柄もよく」なのに、結び切りの不祝儀の水引とは、
たいへんBLACKな表現になりましたが、悪しからず。
私はめでたくあの世に召されることを祈っております。
以上、作家さんの言葉を追記いたしましたm(__)m
汎美展は、次号も続きます。
新美の内観
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以上、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。m(__)m