小説【400字劇場】【FM西東京編完全版】

第12話 ウエルカムボードと笑顔



西武新宿線に乗った彼女は、彼が待つアパ
ートには帰らずそのまま所沢で乗り換え、西
武池袋線のひばりが丘で降りた。
ファミレスの入口にある造花で飾られた「WE
LCOME」ボードに引かれ、店に入った。
店員がにこやかに席へ案内してくれた。
彼女がメニューを手に眺めていると、ドアベ
ルが鳴って60代くらいの女性が入ってきた。
あれこれ尋ねる女性に、にこやかに答えてい
た店員は、「ベルでお知らせくださいね」と
言って、席を離れていった。
直後、店員は一瞬嫌悪感の表情。
その表情はわたし、と、彼女は思った。
深夜に帰宅して、彼女が打ち合わせに出かけ
る朝には目覚めない彼に対する表情。
ウエルカムボードを出したのは、彼女自身だ
ったはずなのに。
あの女性は、店員の表情には気づかず、熱
心にメニューを見ている。
誕生日に食べたティラミスの味がよみがえる。

(20文字×20行)

 

「400字劇場」はフィクションです。

実在のものとは一切関係ありません。

 

400字劇場 目次 こちら

400字劇場FM西東京編完全版 目次 こちら

 

リメイク&復活についての記事 こちら

記事内では全20話としてますが、全17話とします。

 

 

 

 

 

 

文章を書くことについて、あなたのお悩みを聞かせてください。

こちらのブログ内でお答えします。

こちら から

 

 

 

〈岳谷鈴女についてのリンク〉

【大人のお手紙文章教室】体験講座のお知らせ

 

岳谷鈴女ができること

岳谷鈴女プロフィール

400字への想い

400字劇場 目次

岳谷鈴女FACEBOOK

岳谷鈴女TWITTER