山田朱織著「枕を変えると健康になる!」を読みました。

 

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最近の私の関心のひとつは「疲れない体づくり」。葛西紀明さんや仲野孝明さんが著書のなかで枕へのこだわりを書いていたので、私も自ら使う枕の改善をしてみたくなりました。

 

それまでの私は「ねこ背」のせいか、枕を高くしないと落ち着かず、低反発ウレタン製の枕を妻の分まで横取りして二つ重ねて使っていました。

葛西さんは「自分に合う枕を遠征先まで持っていく」、仲野さんは、「高すぎる枕は姿勢を悪くする」と書いていました。私が使ってきた枕は、二つ重ねて使うという時点で自分に合っていない感じがしていましたし、明らかに高すぎます。低反発ウレタンの沈み込む素材が安定しない感触なので、無意識に高くしようとしてしまうと考えました。

 

なので、まずは体に良いとされている「そば殻の枕」を楽天ポイントで購入。試してみた感想は、そば殻が中で動くので首の後ろにフィットする感じであてられ、ほどよい硬さによる安定感とで、寝心地がよくなった感じ。ぐっすり眠れた感がありました。ところが翌日、首の左側が凝った感じで、動かしにくさも残りました。

 
私のそば殻まくら

 

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そば殻の感触とフィット感も捨てがたいのですが、もっと私に合う枕があるような気がして、今回の本で勉強してみることにしました。

著者の山田氏は整形外科医。睡眠時の姿勢が体調に大きく影響を及ぼすことを教えてくれています。

 

枕の高さを5mm単位で調整する

 

首の骨の周りの抗重力筋が頭を支えています。一日の疲れを癒すためには、睡眠時の枕は少し高すぎても少し低すぎてもいけません。不適切な高さの枕で寝ることは、体全体が不良な姿勢の状態を何時間も続けるということなのです。

 

当院では、患者様に枕を指導する際、5ミリ単位で枕を調整します。そのたった5ミリが、睡眠の質に雲泥の差を生むのです。

枕の高さが高すぎても低すぎても、骨や筋肉を休まる形になりません。頚神経が圧迫され、首に負担がかかります。

 

そして枕の高さが重要な理由はもうひとつ。「適切な高さの枕だと寝返りが打ちやすい」、ということ。人が一晩にうつ寝返りの数は2030回ともいわれます。寝返りをうつことにより体液が滞りなく、体を巡り続けます。

 

良い睡眠姿勢の条件は、

    骨や関節、筋肉がリラックスした状態になる姿勢

    寝返りが自在にうてる姿勢

この二つといえます。

 

【私の感想】

私は理学療法士の仕事をしていたとき、適切にポジショニング(利用者が寝たときのリラックスできた姿勢)をするために、枕やクッションの高さを調節して、筋肉の緩み具合や圧の分散具合を触って確認したりしていたことを思い出しました。体が動かない利用者だけでなく、私自身がよい睡眠姿勢をとろうとしていなかったことが情けなく思いました。

シーティングやポジショニングは、私が「生活リハビリ」を実践するのに、特に興味を持って勉強していたはずだったのに!そういえば、田中義行さんの研修で、手持ちのクッションやバスタオルで高さを調節する実習もやっていました。

 

筋肉がしっかり緩むことで、肩こり・腰痛や片頭痛を防げるし、首の神経も改善できれば、手足の痺れや冷えにも効果がありそうなことが想像できます。

 

 

正しい枕の条件と、その作り方

 

正しい睡眠姿勢を作ってくれる枕の条件は

    ジャストサイズの高さ

高さの調節は、上向きに寝たときに、首の角度は15度前後が理想。さらにその範囲で横向きでも快適な高さを探っていきます。

 

    コロコロ転がれる硬さと平らな構造

低反発枕は、頭と首の形にフィットし、しっとりとした質感とも相まって「寝心地がいい」と感じされるかもしれませんが、首と頭の重みを預けるものとしては、まったくふさわしくないと著者は考えます。

「枕がドーナツ型に凹んでいたら要注意」です。沈み込んでいる状態は、首を屈曲させ、寝返りを打ちにくい不自然な姿勢をつくることもあります。

そば殻枕は、その材質から通気性や吸湿性に優れています。適度な弾力性もあって、使い心地は良好です。ただそば殻は、中身が片方に寄って枕が変形しやすいのが問題です。へたりや変形は、首や背骨に負担をかけ、寝苦しさの要因にもなります。

素材へのこだわりは捨てるべきでしょう。

枕の形は、凹凸などがなく、首を理想の角度に安定させたまま、コロコロ左右に寝返りが打てるようにシンプルにまっ平がいいのです。

 

 

    身体に応じたメンテナンス

枕は体にジャストフィットするように、調節し続けるものです。体形の変化や加齢により、適切な高さは変わってきます。常に自分の体の変化に合わせて、枕を調節していきましょう。

 

これら三大条件をすべてクリアするのは、ご自分で作れる「玄関マット枕」です。

・しっかりした作りの玄関マットを三つ折りに畳む。

・次にタオルケットを縦に二つ折り、横に二つ折り、更にz型に三つ折りにする。

・この折った玄関マットとタオルケットを重ねる。

・横向きで寝て、タオルケットを一枚ずつめくって、ちょうどいい高さを探る。

・更に上向きで寝て、めくったり戻したりして調整する。

 

高さをきちんと調整したあとで、寝る前と起きたあとで、枕の高さの差は5ミリ以内に抑えたいところ。一晩でそれ以上のへたりが生じる場合は、用意した材料が柔らかすぎるということです。

 

【私の感想】

私はまず、手元にある大きめの矢沢永吉のタオル、古いバスタオルを重ねて試してみました。

 

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最初は低めに設定したら、寝返りしやすく、平らなので首をラクな位置にもっていきやすい感じ。

快適な感じで就寝しましたが、夜中に目が覚めたら枕と頭の間に無意識に自分で布団をひっぱって挟んでいました。

 

そこで追加したのは、使っていなかったお風呂の足ふきマット。ほどよい硬さがあって、「矢沢永吉」と「へたりバスタオル」だけより、しっかりした硬さがありました。高さも硬さも得られて安定感を感じて寝られました。

 

次の日、気付くとバスタオルがへたって、頭の形に凹んでいました。高さも少しあごが上がる感じで高すぎる感じがしました。バスタオルとめくって調節。今朝の首周りのリラックス感は、最近になく心地よい感じ。目覚めもよくて、グッスリ眠れた感じがしました。起き上がってトイレへ向かうときに自然と良い立ち姿勢になっている感覚がありました。

 

私は枕の調節を始めたところですが、家にあるものを使って足したり引いたり、取り換えてみたりしながら、まだ試行錯誤する楽しみがありそうです。

 

枕を変えると、人生が変わる

 

 

本書には何人かの事例も紹介されています。

 

    「夜中の手洗いが激減したおばあちゃん」

・ふかふかの羽毛枕を使用

・背中がかなり丸くなっている。

・夜中に何度も目が覚めて、トイレに行ってしまうので、喉が渇いても水を飲まないようにしている。

枕調整後→使い始めてすぐに夜中に目が覚めることがなくなる。頻尿が原因で睡眠が妨げられていたのでなく、不適切な枕による不眠で目が覚めてしまうからトイレに行くことが定着してしまっただけだった。

 

    「長年の冷え性がなくなった」

・夜は足が冷えて仕方がないから、靴下を重ねて寝ている

・この方は、「冷え」ではなく腰痛や肩こりといった整形外科的な症状で来院

・分厚い靴下が寝返りをしにくくしていると判断した

枕調整し、靴下を脱ぐことを勧めると→「足が暖かくなった」という。枕調整と靴下を脱いだことで、スムーズに寝返りができるようになったことで、血流があがり、冷えが解消されたと考えられる。

 

【私の感想】

いくつかの事例のなかで、上記ふたつが私の印象に強く残りました。私も、「夜中のトイレ」と、「長年の冷え性」があるから。原因は枕ばかりではないでしょうが、枕の調節による習慣の改善で、私の悩みが良くなる可能性があるような気がしてきています。

 

私はもともと、長年の「ねこ背」がありますが、このところ取り組んでいる、

・仕事中の体幹トレーニング(バランスディスクに座ったデスクワーク)

・体重を脛骨に乗せる意識で立つ

といったことで、腹や足の位置が決まってくると、今度は顎があがってしまう感じがしてしかたありません。きっと長年の姿勢の習慣で、首の後ろの筋肉が縮んでしまっているのだと思います。

そういれば、いつも首のコリがあって、首の骨を鳴らすようなクセもありました。

枕を変えることは、日常の姿勢改善にも役立ちそうな可能性を感じています。

 

ありがとうございました。