おぎやはぎの小木さんとの食事
僕は情熱とかけ離れた人間です
おぎやはぎ小木さんの子供が生まれる前くらいの話です
アンガールズの田中君とおぎやはぎの小木さんの家に遊びに行きました
そしてよーく見入ると小木さんと奥さんの二人だけではなく森山良子さんもいました
僕はあまり業界に友達もいなかったので少々緊張しました
しいて友達と言えばアンガールズの田中君とロバートの山本君のズッコケ二人組みくらいです
それが音楽界の重鎮、大御所のあの森山良子です
森山良子さんを目の前にすると僕は遠くのほうでただただ小さくなるのみです
そんな小さくなってる僕を尻目に田中君は持ち前のひとなつっこさを前面に押し出し良子さんと楽しそうに話しています
僕は田中君がなんだか遠い存在のように感じました
ちょうど小学校から中学校に移行するときに仲の良かった友達が別のクラスに配属され自分の知らない友達と帰ってしまったような気持ちになりました
しかしそんな独りぼっちになった下校生徒の僕にも森山良子さんは優しく声をかけてくれました
内容は「小木君は初めて森山家に来たときからふてぶてしい!」という事でした
いきなり義理の息子の文句です
僕は小木さんの後輩ですし年下でもあります
森山良子さんにそうやすやすと同調するわけにはいかないのです
森山良子さんを制するように僕は言いました
「良子さんの言うとおりだと思います、アイツはふてぶてしい!」
僕は完全に小木さんを裏切りました
裏切ると言うとなんだか語弊がありますが僕が昔から思ってたことを森山良子さんはズバッと言ってくれました
しかし小木さんの文句はそれほど長く続きませんでした
人気者の良子さんはまたみんなの会話の中心にいました
ところが僕はその波に乗っていけずポツンとしました
その後も僕がポツンとしていると隣で何やらブツブツ言ってる人がいました
僕は隣の人がブツブツ言っているので「気持ち悪いなコイツ」と思いました
僕はあまり目を合せないようにチラッとだけそいつを見ました
僕は驚きました
ブツブツ独り言を言っているのはムッシュでした
あの音楽界の重鎮のムッシュ・カマヤツさんです
なんとカマヤツさんも奥さんとともに森山家に遊びに来ていたのです
かなりお酒を召されたようでベロンベロンに酔っ払っています
そして僕にしきりに話しかけてきました
そんな重鎮が話しかけているのだから「心して聞かなければいけない!」と気持ちを引き締めて彼に耳を傾けました
話を聞くと音楽界のことを言っていました
そして嘆いていました
僕が今まで考えたことの無いようなことを言ったのです
「ロックは死んじまったよ!」
僕は生き物だったことすら知りませんでした
僕はそんなことを思ったこともありませんし考えたこともありませんでした
しかしカマヤツの熱い気持ちは僕に伝わりました
笑いの世界も知らない僕が音楽の世界のことなんてさらに知りません
しかし僕はそんな熱いカマヤツに憧れました
僕もカマヤツのように熱くなりたいと思いました
年をっとったら情熱が薄れていき熱く物を考えていることが子供で未熟のような風潮に世の中はあると思います
しかしそれと逆行している熱いオヤジはカッコイイです
僕も将来、年をとったら笑いのことを若い人に言いたいと思います
「あるあるネタは死んじまったよ!」とか
「しゃべくり漫才は死んじまったよ!」とか
「リアクション芸は死んじまったよ!」とか
その時のお笑いの状況を嘆いて若者に言いたいと思います
やっぱりやめます
笑いの場合なんだかダサいです