第521条(商人間の留置権)

 商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。

 

 本条は商人間の留置権、商事留置権について規定したものです。商人間の取引では、一般の取引以上に、信用性が重視され、取引の安全が図られなければならない。そして、その継続性・反復性より、民法の留置権成立の要件を緩和して成立しやすくすると同時に強力な担保制度を創設したのです。

 

 民法上の留置権が被担保債権と留置物との個別的な牽連関係を必要とするのに対し、商法ではそのような意味での牽連関係を不要としています。だから、前回の取引で扱った留置物と今回の取引における債権との間にも留置権の成立を認めるということになります。要するに被担保債権は、その債務者との間における商行為によって生じたものであればよいということです。

 

 

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