脳にはつじつまを合わせたがる性質があるようです。
たとえば僕の先生でこんな研究をしている人がいました。
研究分野の名前的には…そうですねえ…マルチモーダル、という領域でしょうか。
たとえば目の前にモニターを置きます。
そこに一人の人の顔のアップが映し出されていると思ってください。
その人が「ガ(ga)」という音を発音した映像を繰り返し流します。
そこに、部屋のスピーカーから、「バ(ba)」という音を流します。
モニターを見ている人は、映像では「ガ」なのに、音としては「バ」と聞こえるという環境に置かれています。
そうするとです。
「ガ」でも「バ」でもなく、「ダ(da)」と聞こえるのです。
そう、脳が認識するのです。
マガーク効果と呼ばれる不思議な効果でして、私たちは現実場面ではあまりこういう実験状況と
同じ状況には遭遇しません。
ですから、実際に実験を受けてみないと「ダ」と聞こえるはずだ、という納得はなかなか得られないでしょう。
僕も最初は半信半疑でしたが、見事にこの実験に参加して、「ダ」に聞こえました。。。
さて、この実験、結構昔から有名な実験ですが、最初に述べたとおり、私たちの脳みそには、
「つじつまを合わせたがる傾向」
があることが知られています。
要するに単純化したり、統合したり、自分にとって都合の良い解釈に無理やり結びつけたりする傾向が
脳みそにはあるみたいです。
複数の情報が与えられると、私たちは無理やりにでもそれを結び付けて、シンプルに理解しようと試みます。
そこに、大きなエラーが出てくることもあるというわけです。
エラーが出る…というのはなんとなくわかるのですが、実はこのつじつま合わせの能力がないと、
私たちは生きていけないこともわかってきています。
そんなわけで、この本を読んで久々面白かったので、どう生きていけないかを知りたい方はぜひ
下記の文献を当ってみてください。
学生にも読ませたいシリーズです。
あ、ちなみに、著者の先生とは全く無関係ですし、ステマでもありません(笑)
単純に面白いからおすすめ、というやつです。
参考:横澤一彦 (2017). つじつまを合わせたがる脳. 岩波書店