友達のA子に素敵な彼氏ができた。

 

人のうらやむ仲良しカップル。

 

彼氏はすごく人当りもよく、誰から見ても性格の良い男性。

 

紳士で誠実な態度を持っていて、優等生タイプ。

 

見た目はごく普通の彼氏だけど、

 

 

 

 

さて、みなさんにお聞きしましょう。

 

お友達のA子さんに対して、あなたはどのような感情を抱くでしょうか。

 

単純化して申し訳ないのですが、

 

A 心からよかったなあ、と思う

 

B 心から妬ましい

 

だとしたら、どっちにより近い気持ちになるでしょうか。

 

 

 

 

 

B 心から妬ましい

 

と思ってしまった人。

 

自分はなんて心の狭い人間なんだ、人間としての器が小さいのではないか、

 

自分の性格は大丈夫なのだろうか…

 

などなど、思われるかもしれませんが、大丈夫です。

 

「他人の成功を喜べないなんて、器の小さい人です」

 

って、誰かに教えられたことがあるかもしれません。

 

確かに、そういうことも少しはあるかもしれません。

 

でも、ほんの少し、です。

 

別に性格がよかろうが、器がデカかろうが、人間は状況次第ではしっかり人の成功を妬みます。

 

 

 

テッサーという人の「SEMモデル(自己評価維持モデル)」という心理学で有名なモデルがあります。

 

「遂行他者との心理的距離」、「議題の重要性」、「他者の遂行レベル」

 

という3つの判断材料によって、私たちの心の中に自己評価の「高揚」もしくは「低下」が生じます。

 

「高揚」には当然快感情「うれしい!」が伴いますし、

 

逆に「低下」には不快感情「いやだ、妬ましい」が伴います。

 

さて、このモデルについてすっごい簡単に説明しますね。

 

まず、A子さんを仲の良いお友達、すなわち「心理的距離は比較的近い」ということで一つ固定しますね。

 

そうすると、

 

 

はい、この図のように人間の反応を整理することができます。

 

A子さんと仲良し、という前提であれば、

 

1段階目 「今、自分がどのくらい恋愛したいと思っているか」

 

という評価を自分自身下します。

 

人によっては切実に恋愛を求めている人もいると思います。

 

しかし場合によっては、恋愛は間に合っています、今は興味ありません、ほかのことに力を入れてるので、

 

という方もいるでしょう。

 

このように、自分がA子さんのやっている「恋愛」という領域にどれほど関心があるかがまず評価されます。

 

次に、

 

2段階目 「A子さんの成功(彼氏ができたこと)がどれほどのレベルの成功なのか」

 

という評価をします。

 

この場合、具体的には彼氏が自分から見てどのくらい素敵に見えるか、ということでしょうかね。

 

人によって、彼氏に求めたい要素は違っています。

 

性格が第一、という人もいるでしょう。

 

顔が命、という人もいるでしょう。

 

細かいことになると、清潔感とか、マザコンかどうかとか、料理ができるかとか、金銭感覚がどうかとか…

 

とにかく、さまざまな要素を与えられた情報をもとに判断するわけです。

 

それで、「ものすごいいい彼氏ができた」と感じる人もいれば「正直どうしてあの人を選んだのかわからない」

 

という若干失礼な感想を持つ人もいるでしょう。

 

この2段階の評価を経て、はじめて総合評価として自分の自尊心が傷つくかどうかが決定される、と。

 

SEMモデルってのはこういうモデルのことをいうのです。

 

私たちは無意識的にではありますが、この作業を行います。

 

それによって、じんわり心の中に妬みが浮かんできたり、心から喜びを感じたり…するわけですね。

 

今回、妬みを感じた方というのは、

 

「少なからず恋愛に興味関心を持っていて」

 

「A子さんの彼氏を素敵な彼だ」

 

と思ったから、妬んだのです。

 

自分と近しい人が、自分自身興味を持っている課題で大成功を収める。

 

これは友人関係ではなくても、会社の人間関係でも起こりえることです。

 

同僚が自分よりも早く出世していく、仕事仲間が今月の営業成績ものすごい自分よりも良かった、

 

こうした時に人は「妬み」を感じてしまうわけです。

 

 

 

さて、妬みを感じる、というのはこの理屈から逆に考えると、

 

「友達がものすごくたくさんいて、いろんなことに好奇心旺盛で、相手のことを素直に評価してあげられる人」

 

ならばより生じやすいことになります。

 

別に性格が悪いから、ではありません。

 

上記のような人懐っこくて素直な人が感じるものなのです。

 

たまに自分は人の成功を素直に喜べない、なんて邪悪な人間なんだ!と相談にいらっしゃる人がいましたが、

 

結局その人は邪悪でもなんでもなく、好奇心旺盛だったり人とのかかわりを大切にしている人だったり

 

するわけです。

 

妬む=悪いこと、と単純に考えてはいけないのです。

 

妬むってことはいろんなことに夢中になれる才能の裏返し…というか、必ずついて回るものなのです。

 

そう思った方が前向きに生きられると思いませんか?