性格心理学という人間の気質、性格、人格を扱う心理学分野があります。

 

そのうちの性格について今日はお話ししようと思うのですが…

 

気質、性格、人格って、すごく似ていますよね。

 

大雑把に図解するとこんな感じです。

 

 

はい。

 

気質ってのはその人が生まれながらに、あるいは初期経験で形成された「なかなか変わりづらい部分」

 

で、潜在的に人の行動を規定するような性質を持っています。

 

ものすごくざっくり言うならば、例えば「味噌ラーメンが好き」みたいな嗜好のようなものとお考え下さい。

 

あなたが醤油ラーメンをすすめたとしても、頑として「いや、味噌が好きだから!」と曲げない人がいます。

 

そういう人は気質的に「味噌好き」なわけです。

 

あんこかクリームかで分かれるときも、それはそれを支持している気質をその人が持っているから

 

分かれるのです。

 

性格というのは、人生経験が大きく左右して形成される比較的変わりやすい個性の部分です。

 

そして、人格とは、この気質と性格を合わせたその人の個性全体のことを呼ぶ、とまあイメージしてください。

 

だいたいそういうことです。

 

 

 

古来より人々の個性を表す意味でpersonality(パーソナリティ)に関する研究が

 

盛んにおこなわれてきました。

 

 

 

その集大成として、いま人間の性格は「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる

 

5つの要素で説明できるという学説があるのです。

 

その5つとは、

 

「外向性」(積極性、社交性、明るさ)

 

「調和性」(思いやり、やさしさ、献身)

 

「誠実性」(自己規律、良心、慎重)

 

「神経症傾向」(ストレス、不安、衝動性)

 

「経験への開放性」(好奇心、審美眼、アイディア)

 

以上となります。

 

つまり、私たち人間の性格すべては、どんな人種・年齢・性別・信条にかかわらずこの要素を持っていて、

 

この要素の組み合わせで表現することができると、そういうわけなのです。

 

 

性格のとらえ方ってのは大きく分けて今まで2種類ありました。

 

一つはみんな大好き、血液型占いに代表されるような、「〇〇タイプ」で表記する「類型論」。

 

もう一つは、このビッグ・ファイブに代表されるような、人をいくつかの要素とその多寡で記述する「特性論」。

 

この2つの考え方ですね。

 

ポケモンの「くさタイプ」「みずタイプ」みたいなのが類型論。

 

ドラクエのステータス「ちから」「わざ」「すばやさ」「たいりょく」「まりょく」…みたいな表し方が特性論。

 

こういうとわかりやすいでしょうかね。

 

「類型論」の方がざっくりと全体像をつかみやすく、多くの人が理解しやすいです。

 

対して「特性論」の方は、事細かに精緻に記述するのでその人の個性を正確・詳細に把握できますが、

 

正直全体像がイメージしづらいという欠点もあります。

 

 

 

 

ちなみに…僕は結構教育現場でもいまのガス屋さん油屋さんでも、類型論的な考え方は実用的だと

 

思っています。

 

ですが、現在の科学的心理学の流れでは「客観的」「数値化可能」「再現性」などを重視するので、

 

「特性論」なかでも「ビッグ・ファイブ」一色の傾向があります。

 

 

 

 

ちょっと難しい話が続きました。。。

 

 

 

「ビッグ・ファイブ」ってのがまあ、そういうものだとして。

 

最近、いろいろな就職対策の本や、問題集なんかを見ていると、「ビッグ・ファイブ」の測定を試験科目に

 

課しているというところが結構目につきます。

 

まあこんなの、「ビッグ・ファイブ」を測定するアンケート調査への答え方や対策をたてられて、

 

その人の本来の性格なんてきっと測れないんだろうな…と思ってます。

 

人によく見られよう、よく思われようと思うと、普段の自分では回答しないような「良い子ちゃん回答」が

 

できてしまうので、就職試験として質問紙型の性格検査をすることの意味があまり理解できません。。。

 

 

 

 

勝手な予想ですが、これを導入している会社というのは、きっと適材適所の配置であったり、

 

そもそも会社の風土とマッチングするかどうか、というところを見る客観的資料が欲しいのでしょう。

 

その気持ちはわかります。

 

でも、質問紙検査の性格検査なんて上記のような「良い子ちゃん回答」簡単にできますし、

 

仮に真剣に回答してくれたとして、しょせん質問紙。

 

その人の性格のおよそ何%がその検査で説明され、正確であると保証できるかというと、

 

「試験」(つまり、合否判定の材料)にできるほどの信頼性と妥当性があるかはちょっと疑問です。

 

まあ、補助的な使い方なんでしょうけどね。

 

心理テスト・検査に対して必要以上に期待しすぎるのは危険だと思います。

 

(何百回もやったからこそそう思う)

 

 

試験として実施するのは疑問ですが、入社してからの適材適所など配置や教育プランを考えるために、

 

こうした「ビッグ・ファイブ」のような確たる心理要素を検査することは大賛成です。

 

その人の性格傾向から、社内に置いて最も力を発揮できるポジションを提供することは理にかなっています

 

し、Win-Win関係だと思います。

 

ただ、その場合であっても、やはり本人としっかりとコミュニケーションをとることは必要だと思います。

 

検査の数値だけで人の性格を判断するのではなく、生の声や要望を聞いたうえでその処遇を考える。

 

そっちの方がより正確に状況を把握できると思います。

 

 

 

 

ビッグ・ファイブは質問紙検査で比較的簡便に測定することができます。

 

もし興味があれば、その辺の少し大きな書店に行けば性格心理学の分野のところで必ず書籍ありますし、

 

心理検査も専門の業者で販売しているはずです。

 

ただ、心理検査はものによっては購入に制限があるんですよね(有資格者にしか売れない、とか)。

 

販売元に問い合わせてみたらいいと思います。

 

会社で○○の用途に使う…みたいな使用目的をはっきりさせていればOKな検査もあるはずです。

 

あ、業界からは足を洗ったので、特定の誰それ先生の本とか、検査用具がお勧めとか、そういうのは

 

やりません。