某所9月挨拶。

副題は「~「逃げてもいいよ」という言説に違和感を持ち、図書館やら保健室やらも別に居心地いいわけではないんだよなーと感じる君たちへ~」。

…としようと思ったが、ちょっと強すぎるかな、、

 

 

くぐるな

 

 四択の正解がどうしてもわからない。仕方がないので適当に「ウ」を選んだら○がついてしまった。こんなとき、どんな気持ちになりますか?……

 

 裏口入学、コネ入社、不正受給…良くないこととは誰もが知りながら、いざ自分がその権利を得たとき、「要りません」と返納できる人はどれほどいるでしょう。運も実力のうち、自分は選ばれし民、知っている人はみんなやっているのだ、やらない方が悪い、ここで自分が不正に利得を得る分いつか社会に貢献して返納すれば良いのだ…等々、都合の良いストーリーを付与すればいくらでも納得できそうです。

 

 特に「みんなやっている」の影響力は大きいですね。例えば開園直後の遊園地や、乗り換えでホームの対岸に止まる始発電車の座席を巡って…ジェントルに落ち着いてゆっくり歩いて向かおう、駆け込んだらぶつかってケガをする、と心に決めていても、周りがみんな走って座席を奪おうと猛ダッシュ。そうなると自ずと、自分も走らなければ損をする、と焦ってしまいませんか。

 

 外部環境の影響からは逃れられない。となると、手段はとまれ競争を突破するという目的さえまずはクリアできれば良い、と考えるのが合理的です。不正だろうが何だろうが、バレなければ…

 

 ということなのですが、この「バレる」というのは、選抜試験を終えたその先に、じわじわと苦しめることもあるようです。本来は試験対策の過程でつけているべき実力が備わっておらず、折角入れたその集団で活躍ができない。これほどキツいこともそうないでしょう。ショートカットをしたつもりでも、その過程に実は大いなる意味があるのだとしたら…その財産を手に入れられないのはむしろ不合理なことかもしれません。

 

 もっとも、ハイレベルな環境に身を置くからこそ成長できるということもあるので、「とりあえず背伸びして入ってしまって、入ってから何とか追いつこう」という考え方も一理あります。途中過程がまだ自分の中で納得いかない、半端だから…とエントリー自体諦めてしまうのは謙虚でも何でもなく、折角与えられた機会という資産を捨ててしまう、残念な行為です。

 

◆人は誰しも成長欲求を持っている、と仮定して、その成長欲を自分の内側から引き出すために、短期の目標を設定して自らを追い込むという方法もあります。

→「コネ」を増やしていきましょう。コネ=コネクション=人とのつながり=約束。「あの人と約束したから、続ける」「あの人も頑張っているから自分ももう少し頑張ろう」という存在を(仮に一方的にでも良いし、好きなアイドルでもいいので)増やしていき、自分は一人ではないどころかたくさんの存在に推されてステージに立っているのだと意識すること。

 

◆本当に好きなもので、時間を忘れて夢中になれるものに対して、人は永続的な努力ができます。

→言葉は世界を作る(社会構成主義と言います)。「私はこの勉強が好きだ、したくてたまらない」「勉強をこんなに長い時間(○○日も連続で)続けられている、素晴らしい、ここから先は記録更新の絶対に負けられない戦い!」そうして自己暗示をかけて追い込んでいく。

 

 競争をせずに生きるためには、競争をしない方法を考えねばなりません。『競争しない競争戦略』という本に詳しく書いてありますが、ニッチ(人の見落とすスキマ)を狙ったり、圧倒的個性を前面化する(差別化)など色々方法はあって、そのためにまずは競争(=敵)を知ることが欠かせません。今は長い人生のうちのわずか数年の、「不条理」を知るパートだと割り切ればよろしい。