インスリンは血糖を下げるホルモンです。グルカゴンは血糖を上げるホルモンです。
ということは血糖値が高くなるのはインスリンの作用が弱い時でも、グルカゴンの作用が強いときでもおこります。
通常であれば食事をすればインスリンが分泌され、グルカゴンは抑制され、血糖の上昇がコントロールされます。
今までのパラダイムはこの食事におけるインスリンの作用不足が糖尿病の原因であるとしたわけです。
その中で、糖質過剰やインスリンの利きやすさ(インスリン抵抗性)が悪くなることによるインスリン過剰が問題視されたわけです。糖質制限の基本理論もその中にこそ存在します。
しかし、新しいパラダイムではインスリンの作用不足が糖尿病の原因ではなかったことが立証されていました。「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」
グルカゴンの抑制ができなくなることが糖尿病の本質だったんです。
ですからいかにグルカゴンを抑制するかに、治療の中心が変わったんです。
注射でのインスリンではグルカゴンを制御することはできません。
そこで注目されるのがGLP-1というわけで、別の言い方をすればGLP-1の分泌不足が糖尿病の本質かもしれない。という風につながります。
まさにこれこそパラダイムシフトかもしれません。糖尿病患者さんにとっては福音となるはずです。
糖質制限の考え方はその理論的根拠を失っていたんです。