隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)とはなにか | 鈴木内科クリニック院長ブログ

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~食事で健康になれるはず~

先日テレビで放送された内容の要約です。

 

隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)とはなにか

 

一般の方が貧血の症状と考えているのは以下のようなものだと思います。

・疲れやすい、だるい、めまいがする

・息切れ、動悸

・脱毛、爪がわれる、肌の乾燥

 

そして、通常、貧血の指標となるのはヘモグロビン値です。その値が基準値内であれば一応貧血ではないと考えます。

貧血はその多くが鉄欠乏性貧血であり、生理による毎月の出血が最も多い原因で、体内の鉄の損失に直結します。

鉄は、赤血球のヘモグロビン以外に、体の細胞に貯蔵鉄としてたくわえられており、必要に応じて使われますが、ヘモグロビンの値が基準値内であっても、この体内の鉄が欠乏した状態を潜在性鉄欠乏(隠れ貧血)といいます。

そして貯蔵鉄の指標となるのが血清中のフェリチンという値です。

鉄は体の代謝において、とても重要な働きをしており、その欠乏が様々な症状を引き起こします。

隠れ貧血を疑う、特に一般的な症状は、冷え性、肩こり、偏頭痛であり、多くの女性にみられる症状です。

疲れやすいのも一般的な症状ですが、その状態になれてしまって、改善して初めて気が付くことも多いようです

他にのどの違和感、つまり感や足のだるさなどもあります。

 

そしてうつ状態や睡眠障害、パニック症候群をきたすこともあります。これは脳の働きに欠かせないドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の不足によると考えられます。

 

さらに、不妊の原因ともなり、妊娠できても流産の確率も高く、産後のうつ状態も起こりやすくなりますので、とくに妊娠を望む女性には知っていていただきたいと思います。

 

フェリチン値の目安は以下のようになります。

10前後以下は高度欠乏状態、30以下が欠乏状態です。

 

生理のある女性では3人に2人がこの状態です。60以上ある方は2割程度です。

閉経後の女性は100以上が普通で、男性は200台から300となります。いかに女性にとって鉄を毎日の食事の中で意識してでとることが重要かがわかります。

 

日本の女性の鉄の摂取量は少なめで足りていません。食品に含まれる鉄には肉や魚など動物性食品に多い吸収性の高いヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。

海藻や大豆など植物性の鉄分では動物性蛋白質と同時にとらないと吸収率が悪いのです。やはり毎日の食事でしっかり肉や魚を食べることが大切です

 

症例 40代女性のかた 7月→9月現在 2か月、鉄剤内服治療中

フェリチン 7.0→27.0

ヘモグロビン 12.5→13.7

偏頭痛、足のむくみ、だるさなどが改善