「負けず嫌いと頑固。

 僕の第一の特徴だと思います」



優等生というイメージを土台にした報道が 多いですが、

「羽生結弦」という顔は、

羽生選手が選択したもので、

だからこそ心配になります。


優等生の解釈は様々ですが、

“大人の言うこと、世間一般の通念に素直に従う”という意味ならば、

その対極にある少年でした。

強烈なまでに自我がある少年でしたから。



少年時代の合宿でのエピソードや、

集中は5分しかもたなかったという周囲で見守っていた方々のお話にクスクスしてしまったほど、

手に負えなそうな男の子。

ご両親が、

スケートをしたいのかどうか自分で選びなさいと我が子に選択の重さを教えられる存在であったこと、

そのご両親から人としての躾を受けたことで、

今の優等生とも見える土台が築かれたのだろうと思っています。







どうしたいだろう?

○納得ゆく4A着氷

そして、

△引退前に越えられた世界最高得点

何よりうまくいかなかったすべてを。






「僕は基本『大丈夫』としか言わない人。

 どこかが痛いときも『大丈夫』と言ってしまう」


羽生選手の負けず嫌いは、

言い訳と受け取られる言葉なんか言うもんか!!

に、

危険なほど傾いていきます。

持病もある選手です。

後から明らかになって、

死んじゃったらどうすんだ!?と肝を冷やしたこともあるほどに。




口にしたくないだろうな、

と見ている方が辛くなるインタビューは、

現役を続けるとは言いきれないからかと思って見ています。

そして、

同じく引退を念頭に胸を痛めるファンがいることを思い、

納得できるようにと口にしているのかもしれない。

そんなことをSPの後に思いました。




三つ子の魂百まで

もっとも御しがたいのは己でございます。

いつも、

羽生選手自身が決めるときを

はらはらしながら待ってきました。

平昌前のNHK杯、

出場辞退を決めるまでの長い長い夜には、

お願いだから納得して

と祈ったものです。


今回、

あのときと違うのは、

選択肢があることです。

滑ることができる体がある。

また、

その体をキープするために体が正直に動いてもいます。




自身の中にある根源的な欲求。

その欲求のためにする苦労は、

したいものでもあります。

しないことが己を苦しめもします。





はあああっ……


どうしようもなく負けず嫌いで、

面倒くさいまでに頑固な男の子。

そうであるからこそ、

頑張り抜いてきたここまでに、

どんなに多くをいただいてきたことか。




右乳房全摘出手術を2月に終えていました。

抗がん剤治療と放射線治療が続くと提示されたのは3月末。

それを受けるとしたら最前線には出られない。

職場を襲う嵐が目の前に迫っていました。



その嵐に飛び込みたかった。

50万円ほどかかりましたが、

自費検査の上で選びました。

そして選んだ自分に揺れていました。


この状況で自ら選びながら

もし 結果を出せなかったら、

期待に応えられなかったらと思うと、

怖かったです。


4月しょっぱな、

ニース世界選手権での羽生選手に励まされました。

ガツンと頭を殴られたくらいに。

選択したなら、

ただ誠実に努めればいいだけ。

そんな簡単なことがスッと胸に落ちました。





どうか

納得のゆく答えが見つかりますように。

それが何より大事です。



友人と語り合ったフリー前夜、

笑ってしまった一致の一つがエキシビションの選曲です。

フリーで満足のゆく結果だったなら、

エキシでは『序奏とロンド・カプリチオーソ』ではないか。


以前

エキシなんだけどなぁ…と呆れるくらい

本気モードの『パリの散歩道』を滑ったことを、

二人とも思い出していました。

ここで決めきる!

と考えるだろうなと思ったのです。



今は違います。

思いは世界中の人々へと向かってのメッセージへと向かっているのでは。

そう思っています。



店主にとっての五輪は、

次はエキシビション。

そこまでは、

ちょっと視点のちがう、

それでもフィギュアスケートから離れきらない記事が続きそう。


今少し

お付き合いいただけたら幸いです。



画像はお借りしました。

ありがとうございます。