黒猫物語 正月3 俺の道子 俺の瑞月
2016-01-11 17:27:47
テーマ:クロネコ物語

この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。




さっきまで
武藤君も一緒に
トランプでわいわいしてたから
なんだか
急にひっそりした
感じね。



佐賀さんは
日本の服がよく似合う。
夜着は浴衣というのかしら。
落ち着いて見える。
静かな力を感じるわ。
素敵よ。


瑞月ちゃんの浴衣か。
あなた…………食べてください!
って全身で訴えてる?

いえ、
無意識なのよね。
わかってる。
媚びがないもの。

にしても凄い。
凄艶…………かな。
誘わないのに誘われて
いろいろ寄ってくるでしょうね。

あなたは
浴衣は要注意かも。
やたらに
見せちゃダメ!



『瑞月
こっちにおいで』

蒲団に胡座をかいて座りながら
佐賀さんが呼ぶ。

静けさに
なんとなく緊張するのね。
おずおずと佐賀さんに近付く瑞月ちゃんだわ。



膝に乗せる。

『楽しいか?』

「うん!」

『じいさんとは気が合うようだな。』

「大好き。
面白いし優しいよ。」



『いいだろう。 
ただし
約束は守れ。』 

あら
ちょっと厳しめな声。 
マジだわね。

「はい」
まあ
瑞月ちゃんも
いい子のお返事。

真剣な話かな。

『いい人だ。
それは確かだ。
ただ危険なんだ。』

「悪い人じゃないよ。」

『勿論だ。
誘拐騒ぎの問題だ。
巻き込まれたばかりだろう。』

「なぜ誘拐しようとするの?」

『じいさんは
凄い財力があるからな。

それと
よく人を拾っては面倒を見るんだ。
昨日のパーティーは
じいさんに世話になった人ばかりが集まる会だった。

不思議とじいさんは
拾うんでも
援助するんでも
伸びる場合が多くてな。

人脈が凄い。
それを狙っての誘拐騒ぎもある。』

「佐賀さんは
どうして
おじいちゃんと知り合ったの?」

『俺も拾われた。
色々勉強もさせてもらった。
ただ世話になるのも気が退けるからな。
警備くらいはしたいと思ったんだ。
訓練も受けさせてもらった。』 

「だから強いんだね。
でも
佐賀さんの方が威張ってるよ。」

『当たり前だ。
まるで子どもなんだからな。』

「どうして……」

『どうしてここから出たのか
……だろ?』

「……うん。
おじいちゃん佐賀さん大好きだし、
佐賀さんもおじいちゃん好きでしょ。」

『…………道子と結婚すると決めたから。
道子と普通の人生を築きたいと思ったんだ。
トレーナーを選んだのは
まあ基礎知識があったからな。
勉強もさせてもらった。

道子とはここで出会ったんだ。
道子も同じだ。
ストーカーに困っていたところを
じいさんに拾われたそうだ。』

「…………。」

『どうした?』

「………佐賀さん
辛くない?」

『道子の姿なら
今日も見ていた。

来てよかった。
ちゃんと覚えていた。

大事な人だ。
覚えていたい。
そう思った。』

「大事な人だね。」

『大事な人だ。
瑞月
お前と同じだ。』


瑞月ちゃん 
涙ぐんでいた。

そうね。
道子さんは
大事な人だもの。

いい子ね。
ほんとに
ほんとに
あなたはいい子だわ。




佐賀さんは 
しばらく
じっと
瑞月ちゃんを抱いていたわね。

そして囁いたの。
『さあ
恋人の時間だ。』


佐賀さんの手が浴衣の合わせを割る。
瑞月ちゃんの目が見開かれ
佐賀さんを見詰める。



あっ……ん
切羽詰まった甘い喘ぎが洩れる。

佐賀さんは
姿勢も変えない。
静かに瑞月ちゃんが身悶えする様を
見詰めている。

浴衣の帯も解かぬうちに
落花狼藉の風情を纏い
瑞月ちゃんは
佐賀さんの腕に
がっくりと頭を落として震えている。




蒲団に横たえると
浴衣の裾を
容赦なく上げる。

双丘が露にされると
瑞月ちゃんは微かに固くなる。

双丘を
押し開いただけで
瑞月ちゃんは身を縮ませる。
もう知っているのね。



佐賀さんは
瑞月ちゃんに言い聞かせる。

『お前の体は
正直だ。

欲しくてたまらないと
繋がると分かる、

こうして触れるだけで
ここは震える。

瑞月
欲しがるお前が
俺は愛しい。』




佐賀さんは
瑞月ちゃんに
受け入れる姿勢を取らせた。

背後から一気に貫き
悲鳴を上げさせる。


耳元に囁く。
『凄い。
締まる。
瑞月
そんなに欲しいのか?』

貫いたまま
上半身を抱き取り
乳首を責め始める。

狼の肩に
がっくりと頭を預け
刺激のままに
身を震わせる瑞月ちゃんに
また佐賀さんは言い聞かせる。



『ほら
お前は
どんな刺激にも
反応してしまう。

かわいそうに。
こんなに締め付けて。

欲しがりの瑞月
次は何をしてあげようか。』



緩やかな律動に
瑞月ちゃんの快感をコントロールしながら
佐賀さんはその肩を掴み
振り向かせる。

内奥の壁を深く抉られ
一際高く上がる声を
唇を重ねて
塞ぐ。

瑞月ちゃんの頬に
二筋の涙が流れる。
体に絡み付く浴衣が
怖いほどに艶かしい。



唇を離すと
佐賀さんは囁く。
『愛しているんだ。』

涙を唇で拭ってやり
蒲団に横たえ
体位を変えてやる。

佐賀さんに貫かれたまま
瑞月ちゃんがぼんやりと目を開いた。
自分の体がどうなっているかも
わからない焦点の合わない眸。



律動が始まる。
瑞月ちゃんの口から
聞いたこともない甘い喘ぎが洩れ始める。
見開かれた眸から涙が溢れ落ちる。

高まる甘い喘ぎに
狼の熱い囁き

瑞月ちゃん
あなた
まるで月の光でできてるみたいよ
なんて綺麗なの。


達した後
打ち伏したままの瑞月ちゃんの背に
そっとキスして
佐賀さんは
蒲団を掛けてあげる。



欲しがりのくせに
やせ我慢の狼さん

二人だけの時間は
このくらいが
ちょうど良さそうね。

壊れちゃうもの
その子は

昼間は遊ばせたげるの。
子どもは遊ばせないと大人になれないのよ。
あなたが
呼び戻した魂でしょ。
育て上げなきゃ。


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