この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。




未明の狼
2015-11-26 07:27:49
テーマ:クロネコ物語




狼は未明の闇に蹲り
眠る白豹を
じっと見詰めている。 



たださえ細かったしなやかな体は
さらに肉を削ぎ落としている。


夜着は余裕がありすぎる。
狼に身を寄せて安らぐ首もとから
微かに規則的な上下を見せる胸までを
覗き見ることができる。



袖に隠れてしまった手の先だけが
ちょこんと出ている愛らしさと
愛撫を誘うかの白い胸を

二つながらに
投げ出して
幼獣は眠る。




その胸に唇を這わせれば
どんな声をあげるか
狼は既に知っている。


誰の声も届かない深淵から
その魂を召還した。

覚えてはいないだろう。
その足の指まで震わせて達した己の姿を。



無邪気に過ぎるねがいを封じた。

快感の頂点近くを
押し上げられては落とされ
許しを乞う幼獣の
涙に濡れ
焦点を失った眸が浮かぶ。



この体を
貫かれたとき
その眸は
恐怖に見開かれるだろうか。



全身を貫く痛みに
全てを支配され
やがて
この獣は狂っていく。



痛みの奥にある何かに達したとき
制御できない突き上げる快感に
啜り泣きながら
堕ちていくだろう。


もはや恐怖すら届かない
白熱した闇を
突き立てられるごとに
のたうつ奴隷だ。



わずかな愛撫にも
この体は美しく鳴る。



その先を
見てみたい?


だめよ。
思ってもだめ。


あなたにはできないんだから。



「サガ……さん……。」

彼が微かに呼ぶ。
はっ、
と見詰める狼に
ふっと目を開けた幼獣が微笑みかける。


んっ…………。
その手が狼の胸を探り当てる。



細い細い指先が
その胸に安らぐ。

「大好き…………。」

安心したように
また深い眠りに入る幼い者。



ニャー
サガさん

ニャー
泣いてるの?


ニャー
ねえ、
その子可愛いんでしょ?

だめよ。
絶対に。

生きていけなくなってしまうわ、
二人とも。
わかってるくせに。



画像はお借りしました。
ありがとうございます。





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