求め合う今を
2015-12-09 00:59:44
テーマ:クロネコ物語

この小説は純粋に創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





サガさんは
そっとベッドからすべり出る。

幼い恋人は無心に眠っている。

互いの肌を感じて眠る今は、
そうせずにいられたことが
不思議でならない。

離れてなど
どうしていられたのだろう。


そんな目に見えるわよ。


恋人二日目の朝ね。


仔猫はともかく
サガさんには新鮮でしょうね。
求め合うこと。

目が合えば
手を差し伸べる。

触れれば発火する。

肌を合わせ
口づけを交わせば
切ないほどに互いを欲する。

その思いは
貪っても
貪っても
満たされることがない。


そう
互いに求め合う
ってことが。


仔猫が目覚める。
狼の残したシーツのシワに 
顔を突っ込んでいるわ。

「サガさんの匂い…………」 

ま、
あなたもね。

しっかりしなさい。
お勉強するんでしょ。

サガさんの匂いの中で
ただ待ってるつもり?


恋人の朝は
サガさんの御帰還待ちらしい。


居間で
課題に取り組んでいた仔猫が
ピクッと聞き耳を立てる。

パッと立ち上がり
玄関へと駆けていく。

ドアを開けた狼に
仔猫が飛び付いた。

この子
まさかと思うけど
聴こえるの?
サガさんの足音が。

「シャワー浴びようよ。
僕も浴びたい。」

狼に囁いている。

ねっ、
と手を引いて
狼を誘う。

お風呂場から響くシャワーの音。
仔猫の笑い声が混じる。

やがて音は単調になり、
その声は
甘い喘ぎへと変わる。

高く
低く
身を捩り
仔猫は啼かされている。

シャワーに打たれながら
狼に喰われる仔猫の声は艶かしい。

求め合う二人の営みは
絶え入るような声を最後に
水音だけが余韻を残す。

狼が出てくる。
腕にはバスタオルにくるまれ
目を閉じた仔猫がある。

狼の愛を浴び

狼の求めに応じて
狼を欲しがって身を捩らせ

また愛を浴びる。

今は狼にも歯止めがない。

仔猫を喰い尽くさずに
いられない。

どうするの?
そんなにもあなたを求める子を。
そんなにも欲しくてたまらない子を。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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