黒猫物語 正月2 小景 凧上げ
2016-01-11 13:08:12
テーマ:クロネコ物語

この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。






ここ廊下が長いのね。
一直線に伸びる板敷の連なり。
で、
お部屋が広い!
襖とかいう仕切りがなければ
どこまでも広がっていく畳の海だわ。

あ、
畳は大切なカーペットなのね。
爪とぎしようとしたら
佐賀さんが
すかさず止めてくれてわかったわ。

とにかく広い!
子どもの遊び場としたら
快適かも。
走りやすいことは
よくわかったし。


長い廊下を三人が駆け抜けていったわ。
あ、
武藤君は佐賀さんに言われたからよ。
『追え!』
って。

凧上げなんですって。

丘になってるあたりに
三人が固まってる。

わいわい
騒いでるけど
なかなか上がらないわね。
武藤君が焦ってる。

あの二人、
誰かが世話してくれるのに
慣れきってるから
騒いでるだけのようよ。
佐賀さん
あなたが甘やかすからなんじゃない?


…………。
佐賀さん
あなたは何を見てるの?
庭石のあたり
桜の木かな。

誰かいるのかしら。
見えないけどいるのね。

私にも誰かがいるのは分かるわ。



「佐賀さん!
凧上がらないんだ!!」

突然引き戻されちゃった。

瑞月ちゃんの
ハアハアしながらの
お願い顔が
目の前に見える。

走ってきたのね。
速い速い。

佐賀さんも虚を突かれたみたい。

『武藤が頑張ってるだろう。』

瑞月ちゃん
ぷっとふくれる。
「上がらないもの。
おじいちゃんが
佐賀さん呼んでこいって。」

かわいそうに武藤君
この子
いい子なんだけど
何でもできる人に甘やかされて
ちょっと感覚がずれてるの。
許してやってね。


佐賀さんが
凧を上げてあげる。

風に乗せたら
瑞月ちゃんに渡して走らせる。
すごく生き生きしてる。
ここに来れて良かったわ。

ズルとはいえ
佐賀さんに勝っただけのことはあるわね。

高く高く凧は上がる。
あの子の笑い声が明るい。
おじいちゃんが
貸して貸してしてる。

佐賀さんが何か言ってるわね。
武藤君にもう一つ上げさせてる。

おじいちゃんは
武藤君にもってもらわないと危ないみたい。

武藤君が
おじいちゃんに足をとられて
ひっくり返る。
佐賀さんの笑い声。

そうそう。
大人も楽しまなきゃ。
子どもは皆一緒にが
大好きよ。


お仕置きは夜にすればいい。
そのときの
あの子の姿も
あなたの顔も
見てみたい。

楽しんでお仕置きしなさいよ。
あの子を羞じらわせたいんでしょ。
今は違うのかしら。

あの子は酔いしれてたわ
羞じらいながら酔いしれてた。
それは二人に必要でしょ?

画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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