夕顔と六条御息所。
この帖では
対照的な女性が
それぞれの魅力を最大限に披露し
その魅力ゆえに

お一人は
生き霊となってなお高雅であり、
お一人は
命を落としてなお男の心を掴んで離しません。




夕顔には
〝聖なる娼婦〟の風情を
感じます。

もう
乙女ではない。

男を誘うことができます。
その誘いは
プラトニックではない。


かといって
淫らに誘うでなく
男の手が導くままに
ただ
身を委ねて
あどけなく見上げます。


     あなたは
     どなたですの?


演じられた
プログラムで考えようとすると
不思議に見付かりません。



夕顔…………。



映画〝道〟の
ジェルソミーナが
少し
近いでしょうか。





洋の東西を問わず
ある程度の身分の女性には描かれない人物像と
感じます。


源氏物語は
身分の低い女性は
基本、
登場しませんが、

例えば
若紫は
源氏が引き取らなければ
どのような身の上となったか
しれません。


血筋だけでなく
育ちや定めで
弱い立場となる女性も含めて
〝身分の低い〟
感じさせます。




男の夢見る〝無力〟が
どこまでも美しく結晶していくと
こうなるのでしょうか。


演じるとしたら
どう
なりますでしょう。




えっと
解釈を
〝許しの天使〟としたなら
ジゼルのように
舞うことが
できる…………かな?

〝ように〟です。
ジゼルは純潔でしたから。



ああ、
でも、
純潔と無垢なら
無垢が尊い物語の世界です。


少々男性に都合のいい夢ですが、
その無垢に
女性も
また
夢を見ます。


でも、
思うのですが、
女性は純愛の無垢に拘ります。


夕顔は
命を落とすことでしか
ヒロイン足り得なかったでしょう。

あの夜を越えて
女性として成熟を迎えることは
物語の完成がないこととなります。


夕顔。 

やはり
女性しか想定できないキャラクター。

そして、
リアルの女性には求められない
聖なる無邪気です。





落っこちた天使さんといえども
これは
プログラム幻想にも
描けません。


その身を任せてなお無垢というのは
なかなか
難しい。

ただ、
人に降りかかる定めを舞うことは
お出来になる方。
  

こうした女性の世界を含んで
定めを舞うなら
やはり
ノートルダム・ド・パリかなー
なんて思います。



画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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