ループを描いてその身は
跳躍へと進む。





なんという高み
なんという距離



そのしなやかな肢体は
見る間に
迫り来る。


着氷して
口許は
くっ
と上がる。




己に堕ちていく者どもの心を知り抜き
僅かに飽いた笑みに
見る者の心はざわめく。



差し伸べられる腕に
蠱惑は滴る。





欲しくはないか
欲しくはないか



螺旋階段は上がっていく。
踏み出した
一足が
喜びに震える。


ほしい
ほしい
ほしい



営営と築いてきたものは
自ら踏み出す一足ごとに
消えていく。


儚き人の心よ

憐れな魂よ




美しき幻は
見詰める視線に
堕ちた魂を纏いながら
飽いている。



さらさらと砕けた思いが
氷片となって舞い上がる。



その跳躍に
歓喜は沸き上がり
もはや
日常はない。



日常は捨て去られる。
ただ
追うだけだ。




追って
追って
その一足は空を踏む。


幻は微笑む
ただ微笑む
その微笑みに殉じて
どこまでも落下していく己に
微かに残る現世の名残。



なぜ………わたしは
堕ちていくのだろう。



舞う
その姿だけが
今のうつつ
今の真実




堕ちて
堕ちて
堕ちていくものは
ただ堕ちる。



狩りは終わる。
獲物たちは取り残される。



満たされることのない飢え
自らを焼く思いに
魂は捧げられる。


メフィストフェレス
天と地の間を
翔る
無垢なる罪よ


罪はある
堕ちていくものたちが
その罪を引き受けよう




画像はお借りしました。
ありがとうございます。


あかーん
メフィストフェレス書こうとしたら
ほぼほぼ
ショート感想文になりました。

……反省します。



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