この小説は純粋な創作です。
実在の人物、団体に関係はありません。




屋根裏の梁は落ち着いた茶に静まり
熱い吐息に揺れる体を
見下ろしている。



絡み合う肢体に
汗が滴る。

見開かれた眸はうるみ
揺らされ
揺れて
少年は背を震わせる。

反される体に上がる呻きは
欲情に濡れそぼち
甘い。




花の香に甘く
恋人の喘ぎに甘く
軋る寝台に切なく屋根裏は息づく。





一刻ほどの優しい時間。
満たされて微笑むための優しい情事。


一つにあることは確かめられ
名残惜しげに身を分かち
なお四肢を絡め合い
二人は寄り添う。





小鳥の声に
うららかな春の昼時が
屋根裏に入り込む。


優しい時間は
次の優しい時間へと移り行く。









男の胸に散らばる髪が
交わされた情に乱されて艶な風情を残す。
優しくその髪をかきやり
男は囁く。

「昼にしよう。
 食べたら勉強だぞ。」




ふうっ
と見開く眸が
斜めに男を見上げてみせる。

「海斗はお仕事するの?」




その瞳に細い腕が続き
華奢な指が
男の頬を優しくとらえる。



「ああ」

頬をなぞらせながら、
男は応える。




「いやだって言ったら?」

眸をきらっと光らせ
唇に笑みを浮かべながら少年は返す。




「尻を叩いてやらせるだけだ。」

頬に遊んでいた手をつかみ
くるりとその体を下に巻き込んで
男は
まともに上から覗き込む。




きゃっ

上がる悲鳴に
笑い声が続く。




「お仕置きって言うかと思ったのに」


笑いおさめた少年は
男の目をまともに見詰めながら
お返しをした。



不意を疲れて揺れる男の視線に
少年は
再び笑い転げる。




「そんな楽しいこと、
 昼間からやっていられない。」

目を逸らしながら早口に応え
男は少年を引っ張り起こした。



着せる服、
食べさせる時間、
やらせる宿題、
自分の執務、
夕食の支度の手順、
少年にできそうな調理、
…………………。



男の頭は
めまぐるしく回転していた。


イラストはwithニャンコさんに
描いていただきました。



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