この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





まあ
仮装大会ね。
ワインレッドの帽子が
可愛らしい女の子みたい。

付き添ってるのは
…………どこかの組の方かしらね。
堅気じゃないわね、
この黒スーツ。


「こんにちは。

  とっても
  お似合いですね、
  海斗さん。
  あ、
  海斗さんでいいですね。

   瑞月君、
   可愛いわよ。」


職員室に現れた二人組。
映画なら
〝手を上げろ!〟
とか
瑞月君が言って
機関銃ぶっぱなす場面かな。



「失礼します。
   瑞月の面談で参りました。」

ヤクザみたい。
インテリヤクザさんね。
危険な匂いが
ドラマみたいだわ。



「失礼します。
   よろしくお願いいたします。」

深い赤で
頭がまーるく包まれてる。
可愛い目の上まで被さってるつば、
耳まで覆ってるし。
飛行帽みたい。



「変装っぽい変装ですこと。
   映画みたいで
   スリルありますね。」

「すみません。
   室内で非礼でした。
   もう外します。」

「いえ、
   掛けてて下さいな。
   色んな人が出入りします。
   お顔は隠しときましょう。

   サングラスだと
   怖そうですからね、
   色々騒がしくなくて結構なことです。

   瑞月君は生徒ですから
   取りましょう。
   ずっと帽子って訳にいかないでしょ。」

すぽん

帽子を取って
ぷるんと頭を振って
さらさらの髪が
やっぱり似合う。


深いブルーか。
制服っぽい服じゃないからかな。
麗人って風情にドキンとした。


今度は
ヤクザに恋したお嬢様か。
どっちにしても
映画かドラマかって感じね。



「水澤先生は
   音楽室で面談なさってます。

   お上がりください。」



二人組は
今降りた
エレベーターの前に向かい、
瀬を向ける。


寄り添ってる。
〝魂の一対〟という言葉が
改めてしっくりくるわね。






私は
二人を迎えて
伏せておいた新聞を
そっと表に返す。



新聞一面には
ステージに皆さん勢揃いの大きな一枚が
温かい。


〝進化する今と
   受け継ぐ人の思いの融合〟


海斗さん、
あなたの経営方針は
本当に正しいわ。

私が送り出す卒業生たちが
あなたが変えていこうとする社会で
人間らしく生きていく場を
得られますように。

そう
思いましたよ。



で、
一枚めくれば
あなたたちの固めの杯。
ほんと綺麗。


〝新生の誓い〟って
美しいものなのね。
〝血によらぬ絆を魂のそれに昇華した〟
素敵な表現だわ。



物産展のあなたたち
秋を纏う瑞月君と作務衣の海斗さん。
〝自然との共生、
   喪失を越えて生きる在り方に学ぶ〟





大変な生徒たちを
入学させちゃったわね。
責任重大じゃない。


どう育てるか
どう見守るか
水澤さん
あなたの手腕、楽しみにしてるわよ。



鷲羽財団総帥。

長身だこと。
瑞月君が
ますます小さく見える。

そのくせ
〝侵入〟ですからね。
恋にはうぶな総帥さん、
まだまだ修行の必要ありです。


そして、
瑞月君。

あなたは
不思議な子だわ。
まだ不安定。
そうよね、咲さん。


巫であることは
揺らがないことだわ。
高らかに
鷲羽の魂を示すことが
海斗さんを導く。


どうしようかしらね。


進化する天使って
どんなかしら。

楽しみにしときましょう。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。


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