この小説は純粋な創作です。
実在の人物、団体に関係はありません。




昼を食べていない。
すとんと寝入ってしまったが、
夜の部が待っている。
何か食べさせておきたい。


カーテンはレースのみを残し
柔らかな陽光がベッドに注ぐに任せた。
近々と瑞月の顔を覗きこむ。


僅かに横を向いたお前の髪に
陽は輝く輪を作る。
エンジェルリングというのだそうだ。

天使か。
確かに天使が眠っている。


睫毛が長い。
その影は鼻梁を彩る。
頬の稜線は
細い細い筆に成る繊細な技に
陽の照り返しを映して息づく細密画を
見るようだ。
ああ
そして唇。
目を離せなくなる。


その柔らかさを
開いたそれに洩れる喘ぎを
俺は知っている。


だめだ。
起こそう。
唇から自分の目を離す。
深呼吸する。  



パーティーはお前の舞台だ。
再び舞うことになる。
今食べておかなければ
思うように体が動かない。



髪にキスすれば
陽の暖かみが唇に伝わる。
髪を撫でながら額に唇を当てる。
そっと覆い被さる。

んっ………。

声が洩れる。
唇は見ない。
体重を僅かにかける。

ああっ………。

甘い喘ぎにも似た目覚めの声。
お前は気づく。
さあ、
誰がいる?


頬の稜線を唇になぞる。
耳にはお前の唇が触れる。

海斗………。

そうだ。
さあ、
もう一度呼んでごらん。
空いた頬に手を添える。


海斗…………。

「瑞月……起きて」

まぶたが
ぴくっ

震える。


「瑞月……目を開けて」

俺は
期待に震える。
何度見ても見飽きない。
極上の美がベールの向こうにある。


まぶたが開く。
眸が現れる。
……言葉を失う。


瑞月、
この瞬間のために命を差し出せと言われたら
俺は喜んで捧げる。

愛する者が
俺を見つけて喜びに眸を輝かせる。
そして愛らしい唇が囁く。

「海斗だ……。」


その唇に唇を重ねる。
深く深く重ねた唇の甘さに
俺は酔う。


愛している。
いい子だ。
食事だよ。
一緒に食べよう。








画像はお借りしました。
ありがとうございます。


⭐駆け付け小景20分!
 とりま目覚めの二人です。



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