この小品は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





海斗に抱き締められると、
流れ込んでくるキラキラが
わかる。


僕、
少しお腹すいてたみたい。
海斗が足りなかったの。

キラキラ
キラキラ
愛してるをもらって
僕、
幸せになる。


あ、
そうだ!
海斗の胸をポンポン叩く。


放してもらって
チーズを取ってくる。


「海斗
   座って」

だって
海斗は背が高いんだもん。



パイプ椅子に座った海斗に
お願いする。

「あーんして」



小さなプラスチックのスプーンで、
チーズを海斗の口に運ぶ。

海斗は
ゆっくり味わって
「うまい!」
って
言ってくれた。


また
ポワン
って
温かくなる。

胸の勾玉が
一緒にときめいてる。

海斗
海斗
大好き
って
僕たちときめいてるんだよ。



キャッ
お皿を取り上げられて
膝に乗せられた。


海斗の胸に収まると
僕、
小さいんだなって
思う。
海斗の左腕は
僕の背をぐるりと囲んじゃうんだ。



右手で掬ったチーズを
お口に入れてもらう。

ほんのり温かくって
お口の中で溶けていく。


「美味しい!
   海斗も食べて。
   食べさせたげる。」






僕たち、
一口ずつ食べた。



海斗がね、
僕を見詰めながら
口を開けるの。

海斗の中で
チーズが溶ける。

見詰める僕も
海斗に蕩ける。




僕がお口を開ける。
チーズが
僕を溶かしていくみたい。

海斗に見詰められながら
僕は溶かされる。
海斗に溶けて蕩けていく。




空のお皿を
海斗が床に置いた。

カサッ

音がして、
どきどきが始まった。



「瑞月、
   デザートをおくれ。」


海斗が
大人のキスをする。
僕は蕩けて
喘ぎ出す。

海斗が悪戯して
僕は
身を捩る。



海斗が
僕を奏で始める。
僕、
すっかり蕩けて堕ちていく。






「西原!
   車を回せ。

   高遠!
   瑞月は眠っている。
   抱いていく。
   先を歩いてくれ。
   道を確保だ。」


海斗の声が
なんだか遠い。

ふわりと
浮かんだ僕に
暖かい毛布が掛けられた。


海斗の心音が
よく聴こえる。


とくん

とくん

とくん

………………眠くなる。


優しい暗がり
暖かい暗がり
怖くないよ
安心しちゃう。



「すみません。
   通ります。

   ありがとうございます。」

たけちゃんの声。



スーッ

下がっていく。



「どうぞ!」

トムさんの声。


優しい振動。
暖かな膝。
…………僕、
すっかり眠り込んだ。



画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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