黒猫物語 阻止せよ 16 海斗 独白
NEW! 2016-09-25 14:08:00
テーマ:クロネコ物語

この小品は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





真っ白な顔に
微笑みを浮かべ
お前は固く目を閉じていた。


保健室のベッドの
僅かな膨らみに
か細い体は
収まってしまう。



お前は儚い夢のようだ。





手を触れるさえ
憚られる
こんな儚い体に
熱い思いをたぎらせて
お前は戦ったのか




瑞月、
俺は心臓が
痛い


愛しくて
愛しくて
胸がたまらなく痛む




抱き上げる。
ぐらりと揺れたお前は
そのまま
ゆらゆらと揺れ続ける。



すべて
出し尽くしてしまったんだね


俺が欲しいと

俺のもとへ帰ろうと


俺を求めるお前の祈りが
俺の胸を締め付ける





空っぽに
なったんだね



いいよ


俺で
お前を
満たしてやる



不思議だな


お前は
俺が
わかるのか?


こうして抱いていると
お前は
少しずつ生き返るようだ。




頬に
仄かな赤みが
さす


ふーっ



深い吐息が
洩れる


感じる………………。


お前に
俺が流れ込んでいく


お前は
俺に満たされて甦る


ああ
もう唇が
微かに震えている


瑞月

瑞月

さあ
目を開けてごらん



まぶたが
ふわりと開いた


生まれたばかりの眸は
ぼんやりと
周りを見回す。



かくん

垂れた頭の前に
俺の腕がある。



お前は
あ…………と理解する。



跳ね起きる
華奢な体

しがみつく
熱い体



瑞月

瑞月

瑞月


俺は
お前を
取り戻した


耳元に聴こえる
お前の啜り泣きに
俺は
また胸が痛くなる。


海斗

海斗

海斗

キスして



その唇を塞ぎ、
ただ
抱き締める。


瑞月

瑞月

瑞月

俺はお前を愛している

お前を失ったら…………生きてはいられない。




画像はお借りしました。
ありがとうございます。