黒猫物語 邂逅3
NEW! 2016-10-14 21:18:25
テーマ:黒猫物語

この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。









この若者たちは、
いったい誰なのだろう。

「先生、
俺の部屋で話しませんか?

ちょっと散らかってますが、
落ち着いて話せますよ。」


高遠君の声は
明るい。

「お前!

そういうのは、
年上が言うことだぞ!!」

西原さんの声も
明るい。


「トムさんの部屋で話すには
寮まで行かなきゃならないじゃないですか。
先輩もどうぞ!」


高遠君の声は
包容力も
備えている。


同じ一階にあるのか。
さして離れては
いなかった。



カチッ

「ち、ちょっとじゃねぇだろ?!

先生!
ちょっと
お待ちください!!

高遠!
片付けるぞ!!」


なるほど、
高遠君の包容力は
整理整頓にも発揮されるんだな。


かなり
散らかってるようだ。



西原さんは
生真面目なのか。
フフッ
思い込んだら命懸けだな。


「拓也さんの部屋より
かなり
マシなんですよ。」


「下見てどうすんだ?!」


「あれ?
上司じゃないんですか?

上でしょ?」


「俺は
片付けの話をしてんだよ!!」





繊細に心を読み、
的確に寄り添うリーダー。
大胆に決断する力をもつが、
安定感を与える包容力がある。

ただし、
身の回りは片付けられない。



熱く一本気な戦士。
生真面目で融通がきかないが、
使命には情熱をもつ。

見かけは雑だが、
神経質。




誰なんだろう。



ふと
気が付くと
私は
夢で交わした会話に出てきた様々な人物に
二人を探していた。


苦笑した。


思い込みの虜とならぬよう
戒めなければならないのは、
私の方かもしれない。




今を生きる!
常に
今を生きることが
人生を切り開くカギだ。



古に生きた魂を
無意識に求めるのは
自戒しよう。



自ら選ぶ!
そこに、
初めて役割は意味をもつのだ。


彼らは
既に選んでいる。
〝守る〟
ことだ。


そして、
その〝守る〟は
見せてもらった。



私は
私の選んだ役割を
生きるだけだ。



教師として
導師として
私は誠意を尽くそう。





長は
巫を抱いておいでだろうか。
いずこかの池の畔で。



勾玉は記憶をもっている。
それは巫に流れ込む。


その記憶に惑わされずに
前を向かねば
今を生きることはできない。


闇の記憶が甦るなら
光の記憶も必要というものだ。



「先生、
なんとか座れます。

どうぞ!」


西原さんだ。



「椅子が二つしかないから
俺、
ベッドに座ります。」


高遠君だ。




さて、
守る者たち、
今日の私は導師として話そう。


守る者が
知るべきことはある。



画像はお借りしました。
ありがとうございます。