黒猫物語 過去からの来襲 幕間 4
2016-04-01 23:25:50
テーマ:クロネコ物語

この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





「瑞月、
   行くよ!」


午後を
俺は
練習の録画分析で過ごした。




瑞月は
佐賀さんの部屋だった。
抱かれてはいない気がする。

ただ
佐賀さんに守られて
丸くなっていたんじゃないだろうか。




夕食の前に
風呂をすませてしまおう。
俺の手を離れてそのまま佐賀さんの腕に抱かれるのは
瑞月を揺らすかもしれない。




瑞月がさらさらと服を脱いでいく。
上半身には
桜色の花びらが散らされている。
その艶かしさは
佐賀さんの刻印が瑞月を包んでいるからだ。




愛された証を
そのままに
瑞月は
生まれたままの姿になる。




俺は
決めたんだ。
感じることは隠さない。
夢に見るより美しいお前の姿に
俺は感じる。




「入ろう」

瑞月は
俺の手を引く。




瑞月、
お前は愛らしくて残酷だ。

入る前に約束した。
お前の体の隅々まで
俺が洗ってやることを。




佐賀さんが言っていた。
瑞月は
自分の体が欲望で汚れてると
感じてると。





それを塗り替えてやる。

その腕を伸ばし
指先まで
丁寧に洗っていく。
くすぐったがるお前をなだめながら
声をかける。




綺麗だ
瑞月は綺麗だ

きゃっ

くすぐったがり、
身を捩るお前。





俺は囁く。

「開いて、瑞月。
   洗えない。」




言われるままに
お前は体を開く。



なんて華奢なんだろう。
下肢を包む筋肉が
しなやかに動く生きた大理石の彫刻を
作り上げている。





「だいじょうぶ
   綺麗だ。
   綺麗にしてあげる。」

足の指の間まで
俺は洗い清める。



「先にお湯に入ってて」


俺が
洗っている間、
瑞月が立てる音が
優しく湯殿に響いていた。




脇に入ると
そっと
しがみついてくる。



「たける
   甘えさせてくれて
   ありがとう。」




俺の欲望は
感じているだろう。
それでも
瑞月は
怯えずにいる。



瑞月、
そうして
お前は甘えてくれ。
俺は
それで幸せになる。




その背中を撫でながら
俺は囁く。


「大切だ。
   お前が大切だ。
   お前は世界一綺麗だ。

    大切すぎて
    これ以上は触れられない。」




瑞月は
こくんと頷く。

まるで花のようだ。
俺の腕の中のお前は
ただ
花のように咲いている。




佐賀さんは
お前に火をつけるのか。
お前が纏う花びらは
燃え上がるお前の名残なのか。




さあ
上がるぞ。

午後に分析したんだ。
一緒に見てみよう。




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ありがとうございます。