黒猫物語 記憶 小景 水面下のバトル
2016-02-29 16:31:20
テーマ:クロネコ物語

この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。








おじいちゃんも
今度は御対面ね。



咲さんが連絡してきた。
門は通過した。
で、
間もなくこの部屋に現れるってわけ。




海斗は
ここにいる。



瑞月は
今ごろ高遠君の隣に座ってる。



ハグは……したわね。



キスは……どうかしら。
唇にはしてないと思うけど。



お膝でネンネは確率高いわね。
それとも
俺の胸でお休み?




海斗は
どうやら
仔猫完食したらしいから
ポヤンとしてるに決まってるもの



「瑞月、
  眠いのか?」


「……ううん
  なんかだるいの」


「横になれよ
  着いたら起こしてやる」

なーんてね。
 



「瑞月ちゃん
   高遠君を迎えに行くんだけど
   一緒に来る?」



咲さんが
ちらっと海斗を見てから
この上なく優しい声で
瑞月を誘った。



「行くー!!」

瑞月は
飛び上がってお返事だ。



「午前中は勉強だ」

海斗の声に
瑞月がシュン!



「恋のお勉強は
  夕べも今朝もしました。

  友情のお勉強にしましょう。」

咲さんが宣言する。





まあ
皆さん凍りついちゃって

屋敷最強は誰か?!
瑞月の第一責任者は誰か?!
頂上決戦の火蓋は切って落とされたわね。

おもしろーい。




仔猫は咲さんを見上げたり
海斗を上目遣いで伺ったり
振り子みたいになってる。


審判はあなたみたいよ
さあ
どっちを選ぶ?
仔猫ちゃん





「瑞月ちゃんは
  どうしたいんじゃ?」

おじいちゃんがしゃしゃり出た。

まあ
他の人には入れない
怖すぎる二人だものね。



「……たけるに早く会いたいけど……。」


「お勉強じゃろ?

   しなきゃなぁ。
  あ、
  サガちゃん、
  学校のお勉強の話じゃよな?」




おじいちゃん
フォローに入ったわね




「え?
  そうなの?」

まあ素敵な質問
なんの勉強のつもりだったの?



仔猫ちゃん
あなた

海斗を突き落としたわよ





「まあ
  そうでしたか。
  学校のお勉強は大事です。

  瑞月ちゃん
  やりたいことだけは
  できないのよ

 わかる?」


咲さんが主導権を握ったわね。




「……はい
  お勉強します。」

仔猫が
小さくなって
お返事する。




咲さんが
にっこりする。

瑞月の目を覗き込んで
しっかりと話したの。


「違うの
  よく聞いてね

  これからも
  やりたいことと
  やらなきゃならないことが
  たくさん出てくるわ。

  どうしたら
  やりたいことができるか
  一生懸命考えるの

  大切なことよ」




仔猫は戸惑う。
戸惑って振り返る。

「えっ?
………………海斗?」



保護者は
やっぱり海斗か…………。

仔猫が待ってるわよ。
大人でね。
大人よ。




「勉強をどうするか
   自分で考えて
   考えたことをちゃんとする。

   そういう意味だ。

   ちゃんと勉強できるか?」




瑞月は
うんうん考えた。

そして
咲さんに向かって
一生懸命に答えてる。




うーん
最終決定権は咲さんにあるわね。



「えっと
   たけると練習した後は
   ちゃんと勉強します。

   えっと
   寝るまで勉強だけします。」




言い終わってから
そっと海斗さんを窺う。

こちらは
第二権力者ね
まあ
それは最初からわかってたわ。



「いいだろう。
   咲さん
  お願いします。」

尋常に向き合う二人。
勝負は先送りね。




「引き受けました。

   すぐ出ますよ。
   行きましょう。」





玄関が賑やかになった。
さあ
もうすぐ始まるわね。



瑞月の大好きが
もう一人やってくる。

お楽しみはこれからね。



画像はお借りしました
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