この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。







黒猫物語番外編 パーティー エピローグ
2016-01-10 14:33:58
テーマ:クロネコ物語





○若手新聞記者 武藤君の夜


警察対応は
佐賀さんと
じいさんのとこの人が
なんか全部済ませてくれた。

ま、
俺も含めて
ブンヤが入る余地はない
ってことでもある。

凄いスクープだらけの夜だった。
書けないけどね。
不思議と残念じゃない。
ほっとしている。



お花ちゃん

じいさん
三人と知り合えたこと

それで満足だ。
俺は
じいさんの家に
出入りできることになった。

新聞記者としても
勉強になる。
が、
なにより
この三人を知りたい。



〈うちに遊びにおいでよ。
   お正月はヒマなんじゃ。〉
とじいさんが言い出し、

お花ちゃんが
「いいの?
  行きたい!」
と応えて

子ども同士で話が決まってしまったんだ。
俺も便乗した。
〈おいで おいで〉
じいさんは屈託がない。




子どもだけで約束しちゃダメ!
ちゃんとお母さんに聞いてからよ!

大事な躾だ。
佐賀さんに気の毒なのは
じいさんが
中身が子どもなのに
年齢が子どもじゃないことだな。



佐賀さんが警察対応から戻ったときには
子ども二人で
きゃっきゃと盛り上がっていて、
話は決まってしまっていたんだ。

お母さん
もとい
佐賀さんがダメと言っても
どうにもならないくらいに。



飼い猫を連れてくるために
使いの者が飛行機に乗り
明日の飛行機はキャンセルされ
予定通りなのは
ホテルに一泊することだけ。



戻った佐賀さんは、
とりあえず
ベッドで飛び跳ねていた二人に
拳骨を落として
何をしていた?!
と問い質した。

そして………………、
子どもたちの計画を聞いた。
その心中は
察するに余りある。


フザケンナ
テメエラ
コドモガ
ナニカッテニキメテンダ
等々
心の声は様々あったに違いない。



が、
無言の佐賀さんを見上げるお花ちゃんの
うるうるお目目と
「だめなの?」
の涙声で
覚悟を決めたのだろう。

何の覚悟?
保父さんの日々を過ごす覚悟かな。



『いいだろう。
   練習場所の確保もしてもらおう。
   遊んでだけはいられないからな。』

「うん!」




またきゃっきゃと喜ぶ二人だった。

俺には
「ありがとう!」
じいさんには
「明日ね」

明るく手を振るお花ちゃんと
悩み多き狼を残して
その夜は解散した。



明日、
俺も遊びに行こう。
お花ちゃんと狼がいるうちに
行きたいんだ。

○佐賀さんの夜



『だいじょうぶか?』
肩を抱き囁く。
「うん」
小さな声を確かめる。


シャワーで
その隅々まで洗ってやりながら
佐賀は考えていた。

仔猫を見詰める
男たちの視線まで
一緒に洗い流してしまいたい。

白磁の肌に手を滑らせながら
その胸をまさぐる欲情を思い、
うなじに舌を這わせる衝動を思う。

耳を甘くかむと
くすぐったがり身を捩る。
その姿を
想像することさえ
他の誰にもさせたくない。

狂暴に荒れ狂う独占欲に
佐賀は焼かれていた。



タオルで水気を拭き取ってやる間も
幼いままに
明日からの予定を
一生懸命に話している。

その安心しきった声を聞きながらも

いやあああああっ
佐賀さん

その声が
耳に甦る。



絶望と恐怖の中
自分だけを待つ声は
切なく苦しい。

応えられないときが
来るだろうか。

必ず助ける。
それが
間に合わなかったとき
幼い恋人の心は
形骸をとどめているだろうか。
俺の心は
土台をとどめているだろうか。




狼は
仔猫に確かめる。

その行為に
その言葉に
確かめずにはいられなかった。

恋人の思いの深さを
自分に対する惑溺を



絡み合い
ベッドに入れば
その唇はキスを求めて開く。

さあ
どうしてほしい?
優しく促せば
下肢を開き
佐賀を待つ。

何回慣らしても
最初の瞬間は
身を固くする。

押し当てるものに
僅かに手足を縮ませる。


こわくない。
だいじょうぶだ。
囁いて
身を進める。

あっ……佐賀さん

入ってしまえば
自分を迎え入れて
恋人は
その内奥を震わせる。

嬉しいんだろう?
中が震えている。
さあ
もっと震えてごらん。

奥まで突き入れる。
甘い苦痛に
反り返り
深い快感に収縮する内奥。

その顔を見詰めながら
もし間に合わなかったら……と思う。

律動を始める。
みるみる燃え上がり
譫言のように
自分の名を呼ぶ恋人。

焦らすように
抜きかける。

繋がりを求めてすがりつく恋人に囁く。
さあ
どうしようか?

ぐっと貫き声を上げさせ
反り返り
息をひき苦痛に耐える顔に
苦痛から快感の淵に深く沈んでいく様を
確かめる。

再び律動を始めれば
啜り泣きに
甘い喘ぎが混じる。

言ってごらん
お前の中にいるのは誰だ?

さ、佐賀さん
佐賀さん
佐賀さん
………………。


今日は
控えなければ
この花は萎れてしまう。
もう仕留めよう。

そう考える自分が残っていた。



さあ
感じてごらん。
それは俺だ。

囁くと
一気に責めあげる。
熱く溶け合い
共に駆けあがり
溺れる。

自身の咆哮とともに
仔猫の切ない声を聞きながら
佐賀は
どうにもならない思いにも気付いていた。

誰にも渡さない。
誰にも渡せない。

どこかに閉じ込め
腰が立たなくなるまで責め抜きたい。
自分以外に何も感じられなくなるまで
ただ貫いてやりたい。

それが
一番戦うべき敵だ。
わかりながらも
胸を満たす思いに焼かれていた。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。




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