この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。




小景 シャワー
2015-12-24 09:51:40
テーマ:クロネコ物語





シャワーは
かねてからの問題よね。
一人で浴びるか
二人で浴びるか



まず帰宅時が危ない。

加えて早朝のランニングは
二人とも汗を流さなきゃならないから
さらに危ない。



で、
さっそく今日は
大変だったわけよ。




玄関から
始まる二人の世界は
いつものこと。

なかなか
居間に現れない。




サガさんの胸に抱かれて
仔猫が訊ねてる。

「今日の僕、
  どうだった?」




サガさんが応える。

『これだけ思われたら本望だ。』



仔猫が背伸びして
サガさんに
キスをする。

「ありがとう。

   受け取ってくれて。
   僕、
  もう欲しくてたまらない。

  サガさんが
  僕を全部受け取ってくれたら
  幸せだって

  本当に思う。」



サガさんを待ち受けて開く唇が
震えている。

その唇に唇が重なり、
二人の息遣いは
熱い喘ぎとなり溶け合う。




静かに唇が離れ、
仔猫が囁く。

「…………お願い。」




踏ん張りなさい!!
ここで負けたら
だれが
この子に
ご飯食べさせるの?!



『シャワーに行け。
   俺は食事を作る。』



仔猫が見上げる。

「一緒はだめなの?
   いつも一緒だったじゃない。」




狼は
仔猫を見下ろし、
首筋に唇を這わせる。

声を上げ
首筋を狼に捧げて
身を捩る仔猫。



そっと唇を離して囁く。

『まだだ。
   必死に我慢してる。

  約束だ。
  俺が大丈夫と思うまで
  待ってくれるんだろ?

  今のお前を我慢するのは
  大変なんだぞ。
 
  そうやって
  欲しがられて
 どう我慢しろというんだ。』



小首を傾げて
不思議そうに
仔猫は返す。

「シャワーだけなのに、
  どうしてだめなの?」



狼は
もう応えない。
ただ
仔猫をひっぺがして宣言する。

『シャワーは一人で浴びろ。
  質問はなしだ!』



次は
どう戦うんだか。

ルールは大切ね。
問題は
あなたが
それを守れるかどうかよ。


仔猫はよくわかってる。
頑張ってね
サガさん。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。


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