この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





幼い恋人をもつ者は
2015-12-20 11:43:36
テーマ:クロネコ物語





狼のお仕置きに
仔猫は甘く砂糖漬けにされた。

シャワー室から
抱っこで現れた仔猫は

狼の胸に紅潮した頬を寄せ
唇は微かに開き
狼のお仕置きを待ちわびている。




狼は
腕の中の
幼い恋人に
囁く。

『いい子だ。
   もう欲しがるな。

   待てるな。』




夢現に頷く仔猫は
布団に入れられ
目を閉じた。

頭を拭いてやり
肩まで布団を掛け
そっと押さえる。




仔猫の顔は
半分布団に隠れ
幼子のような頑是なさを
見る者に感じさせる。

サガさんは
こういうとき
ひどく辛そうだ。




若紫
ひいな遊びに興じる少女
親を知らぬまま自分を慕う少女
夜毎添い寝を乞う幼い者
何も知らぬまま「妻」になると繰り返す乙女

その花を散らされた翌朝
少女は床を出られなかった。




幼いということ

知らないのよ何も。
できるかしら
あなたには。
その花を散らすことが。





でもね

怖くなるわ。

幼いままに
ただ求める恋人は
日毎に艶めいていくんだもの。




ドキッとした。
さっきの仔猫。


切なげに見上げる目と
震える唇。
全身が狼の牙を求めていた。

咬み裂かれ
食べ尽くされて
狼の中に入ってしまいたいのかもしれない。





それがどんなことか
一度は知りかけた筈なのに


仔猫が
幼さを見せるとき

サガさんは
ひどく辛そうだ。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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