この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。







愛の挨拶 虎姫の声
2015-12-01 21:37:42
テーマ:クロネコ物語




カーテンが開けられた。
寝不足の狼が目を開けると
陽光の中で
仔猫が覗き込んでいる。



かわいい…………。
と思う間もなく

するっとベッドに戻ると
狼の唇に唇を重ねる。



「おはよう」

はにかんで頬を染める。



ねだるキスでもなく
保護のキスでもない

仔猫の愛の挨拶ね。



『夕べは自信がついた。』

狼が応じる。



「どんな?」

仔猫が小首を傾げる。



『いくらでも
   迫ってくれて
   構わない。

    お前に迫られても
    抱く気は起きないからな。』

抗議する仔猫をかわして
狼が囁く。

『今のお前は
   そそられる。

   かわいい。
   本当だ。』



仔猫は耳まで真っ赤になった。

その額にキスしてやり
サガさんは
ルーティンワークにかかる。



朝食。

「苦手なんだもん。
   食べさせて。」



サガさんが
一口ずつ
スプーンで
食べさせる、っていう
あきれた甘やかしをしているところに

玄関チャイムが鳴った。




『食べてしまえ』

とスプーンを渡し
サガさんは
インターフォンに向かう。



《おはよー!
   家から色々届いたから
   お裾分け持ってきたの。》



『今日はオフじゃない。
   中には入れられない。

    俺が下に降りる。
   待ってろ。』



《渡したらすぐ帰るもの。
   入れてよ。》


『ダメだ。』


《ふーん。
   冷たいんだ。

   ま、いいや。
   次はちゃんとアポ取ります。

    待ってるから
    一人で来てね。》



一人でとか
わざわざ言うかな。

聞かせてるわね、
うちの仔猫ちゃんに。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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