この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。
結界の中で
2015-11-23 08:38:47
テーマ:クロネコ物語
この小説は純粋に創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。
「好きって…………何だろう?」
狼の唇が離れていく。
その余韻の中で
白豹は呟く。
『どうした?』
己の体で包み込んだ手負いの獣。
その声に心も抱きとめて
狼は問い返す。
「どうして殺しちゃったり、
死んじゃったりする
のかな?」
己の抱える不思議を
確かめながら
問いを展開する幼き者。
その眸は思慮深く
無垢に透き通っている。
『物語だ。
気にするな。』
狼は労る。
未だ身を焼く思いを知らぬ幼獣に
その深淵はわかるまい。
「悔しいと悲しいは
…………すごくわかる。」
眸の奥に
黒々と
盛り上がり
迫り来る水の影を読み
狼は
その頬に手を添え、
そっと
自分に向けさせた。
影が静んでいくのを待ち
言い聞かせる。
『俺がいる。
お前が
地獄の底にいても
俺が必ず連れ戻しにいく。
安心して待ってろ。』
眸に静かに溢れる涙を
狼が
その唇に吸いとっていく。
あっ…………
微かな啜り泣きが始まり
二頭の影は
一つに溶け合った。
んっ…………
サガさん……サガさ………………
あ………………………
白豹が甘く
己の愛撫に満たされていくのを
見詰める狼の眸は
哀しみに似た愛しさに
苦しげに見える。
あっ………………。
一際高く上げられた
白豹の切なげな一声に終わりを読み
狼は
その体を震えごと抱き締める。
愛している
愛している
愛している
とめどなく流れいる狼の思いに
ベッドの周りに
結界が張られていく。
どんな悪夢も
この子を連れ去ることはさせない。
魔王の魔手を逃れ
愛する者をその腕に抱き
狼は闇に蹲っていた。
画像はお借りしました。
ありがとうございます。
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結界の中で
2015-11-23 08:38:47
テーマ:クロネコ物語
この小説は純粋に創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。
「好きって…………何だろう?」
狼の唇が離れていく。
その余韻の中で
白豹は呟く。
『どうした?』
己の体で包み込んだ手負いの獣。
その声に心も抱きとめて
狼は問い返す。
「どうして殺しちゃったり、
死んじゃったりする
のかな?」
己の抱える不思議を
確かめながら
問いを展開する幼き者。
その眸は思慮深く
無垢に透き通っている。
『物語だ。
気にするな。』
狼は労る。
未だ身を焼く思いを知らぬ幼獣に
その深淵はわかるまい。
「悔しいと悲しいは
…………すごくわかる。」
眸の奥に
黒々と
盛り上がり
迫り来る水の影を読み
狼は
その頬に手を添え、
そっと
自分に向けさせた。
影が静んでいくのを待ち
言い聞かせる。
『俺がいる。
お前が
地獄の底にいても
俺が必ず連れ戻しにいく。
安心して待ってろ。』
眸に静かに溢れる涙を
狼が
その唇に吸いとっていく。
あっ…………
微かな啜り泣きが始まり
二頭の影は
一つに溶け合った。
んっ…………
サガさん……サガさ………………
あ………………………
白豹が甘く
己の愛撫に満たされていくのを
見詰める狼の眸は
哀しみに似た愛しさに
苦しげに見える。
あっ………………。
一際高く上げられた
白豹の切なげな一声に終わりを読み
狼は
その体を震えごと抱き締める。
愛している
愛している
愛している
とめどなく流れいる狼の思いに
ベッドの周りに
結界が張られていく。
どんな悪夢も
この子を連れ去ることはさせない。
魔王の魔手を逃れ
愛する者をその腕に抱き
狼は闇に蹲っていた。
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