この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。
互いの息遣いを
2015-11-22 13:54:47
テーマ：クロネコ物語
ドアが開く。
同時に足元に崩れ落ちていく白豹を
狼は左腕に抱き止めた。
意識を失い
重力のままにずり落ちる白豹の体を
腕の付け根に
止めて
軽々と両腕に抱き上げる。
寝室に向かう足取りは
やや速いが
落ち着いている。
呼吸を確かめながら
ベッドの下から酸素を出して口にあてる。
腕、脚を順に擦り血行を取り戻す。
酸素を外し、
布団をかけて体温をキープし、
キッチンに向かい栄養ドリンクを調合し
寝室に戻る。
サイドテーブルは
まだ脇にある。
歩くこともできなかったのは
まだ四日前の話だ。
口移しに
飲ませれば
白豹の喉はそれを飲み下す。
眉がしかめられ
うっすらと瞼が開く。
「ああ……サガさん。」
のんびりした声だこと。
しかも
微笑んじゃって。
『加減しろ』
その髪を掻きやりながら
狼は諭す。
「加減しなくていいように
車なんでしょ？」
フフっ、
と笑い、
「それ、
飲んじゃう方がいいよね？」
起き上がり
狼に支えられ
飲み干す。
サガさんの胸に全身を預け
一つ深々と息をする。
『少し休め。
食事で起こす。』
サガさんに肩を抱かれて
彼はそっと寝かされる。
「サガさん、
いつものしてよ。
眠りたい。」
ベッドにあって
自分を抱く腕に
手をかけ
見下ろす顔を
見上げる。
狼の顔を見詰めた眸が
静かに閉じられる。
近付く息遣いに応え
微かに開く朱唇を
狼は唇で覆った。
その息遣いが揃っていく。
二頭の獣は
寄り添い
傍らにある快感に溺れながら
飽きることなく
唇を交わす。
白豹が沈みこむ気配に
狼は唇を離し、
その瞼に
額に
口づけて
そっと寝室を出た。
白豹の
安らかな寝息。
黄昏の薄闇。
まるで絵画ね。
なかなかないわよ。
こんな綺麗なものを
私一人が見ているのよ。
なんだか厳粛な気持ちになっちゃう。
画像はお借りしました。
ありがとうございます。
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実在の人物・団体に関係はありません。
互いの息遣いを
2015-11-22 13:54:47
テーマ：クロネコ物語
ドアが開く。
同時に足元に崩れ落ちていく白豹を
狼は左腕に抱き止めた。
意識を失い
重力のままにずり落ちる白豹の体を
腕の付け根に
止めて
軽々と両腕に抱き上げる。
寝室に向かう足取りは
やや速いが
落ち着いている。
呼吸を確かめながら
ベッドの下から酸素を出して口にあてる。
腕、脚を順に擦り血行を取り戻す。
酸素を外し、
布団をかけて体温をキープし、
キッチンに向かい栄養ドリンクを調合し
寝室に戻る。
サイドテーブルは
まだ脇にある。
歩くこともできなかったのは
まだ四日前の話だ。
口移しに
飲ませれば
白豹の喉はそれを飲み下す。
眉がしかめられ
うっすらと瞼が開く。
「ああ……サガさん。」
のんびりした声だこと。
しかも
微笑んじゃって。
『加減しろ』
その髪を掻きやりながら
狼は諭す。
「加減しなくていいように
車なんでしょ？」
フフっ、
と笑い、
「それ、
飲んじゃう方がいいよね？」
起き上がり
狼に支えられ
飲み干す。
サガさんの胸に全身を預け
一つ深々と息をする。
『少し休め。
食事で起こす。』
サガさんに肩を抱かれて
彼はそっと寝かされる。
「サガさん、
いつものしてよ。
眠りたい。」
ベッドにあって
自分を抱く腕に
手をかけ
見下ろす顔を
見上げる。
狼の顔を見詰めた眸が
静かに閉じられる。
近付く息遣いに応え
微かに開く朱唇を
狼は唇で覆った。
その息遣いが揃っていく。
二頭の獣は
寄り添い
傍らにある快感に溺れながら
飽きることなく
唇を交わす。
白豹が沈みこむ気配に
狼は唇を離し、
その瞼に
額に
口づけて
そっと寝室を出た。
白豹の
安らかな寝息。
黄昏の薄闇。
まるで絵画ね。
なかなかないわよ。
こんな綺麗なものを
私一人が見ているのよ。
なんだか厳粛な気持ちになっちゃう。
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