この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。





まあ いい勝負
2015-11-22 06:22:00
テーマ:クロネコ物語




息を吐きながら
彼が体を伸ばしていく。



脚を前後に開く

上半身を前に倒す。



夜の窓は鏡となり
バレリーナを思わせる細さとなった少年を
闇に映し出す。




眸だけが
野生の豹のそれを思わせる。




強い意志が
体の隅々まで
今!
何を!
どんなふうに!
指令を行き渡らせている。




『終わりだ』

サガさんの声に
彼はゆっくりとポーズをとき、
深く息を吐く。



僅かな時間に
全身から汗が流れ落ちる。


「通い始めてもいい?」

『明日からな。』

サガさんがタオルを渡し
彼はシャワーに行った。




サガさんは
夜食を用意している。

彼は用意されたものを食べ
ベッドに入った。




食べ始めて3日目。
物凄い意志だ。




『余計な体力は使えない。 
  車で移動するぞ。』

左腕を枕に貸しながら
サガさんが語る。

『短時間からだ。
   忘れるな。』




彼の手が
サガさんの胸に伸びる。

「約束だよ。
   一つつけて。」

耳に囁きかける声に

『一つだぞ』

サガさんは念をおす。





パジャマのボタンに手がかかる。

一つ外すごとに
鎖骨の影から続く白い胸が
くっきりとした窪みを見せる腹が
再び露になる。




白豹は己の胸から拡がるものに
全身を震わせ始める。



シーツを掴み
身を反らして頭を振り
咆哮を上げる。



その痙攣が収まりかけると
サガさんは容赦なく力を加える。

「…………や、やめて……

   ごめんなさい…………

   やめて……」


『お前が頼んだことだぞ。』

面白そうにサガさんはなぶる。




あああ、
潰しとくつもりね。
泣いちゃうわよ。




白豹は終らない波になぶられ
涙を流し始めた。
初めてサガさんを見る目に
恐怖が浮かぶ。




ヒクッ ヒクッとしゃくり上げながら
また押し上げられ
白豹の喉から獣じみた声があがる。




その両手は
サガさんの片手で
頭上にまとめて戒められた。



仕上げかあ。

深々と長いキスが始まる。
白豹から
抵抗の意志を
最後の一滴まで搾り取って
サガさんは身を離した。 


『もう望むな。 

   約束の一つは
   つけてやった。』

言いながら
その薔薇の刻印に触れれば
半濁した意識のままに
白豹の体は弾む。



身仕舞いをしてやり
布団をかけ
乱された呼吸が収まり
静かな眠りが始まるのを見届け、
狼は自分も横たわる。



泣き濡れた仔猫の涙を拭い
振り乱した髪を撫でる。


「……サガさん……
   ありがとう。
   …………おやすみなさい。」



目が覚めたのか
夢うつつなのか

仔猫が目を開けて微笑み
スーッ、とまた寝入った。




最後に殺られたわね。
だから試合は終わるまでわからないのよ。



まあ
もうねだったりしないんじゃない?
サガさん次第で決められる。

いい勝負だったわよ。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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