この小説は純粋な創作です。
実在の人物・団体に関係はありません。








狼は襲撃に備える
2015-11-07 15:11:33
テーマ:クロネコ物語




また
変わるわね。



サガさん、
一生懸命
彼の頭に
刷り込んでるみたい。

「俺が守っている」
ってことをね。




朝起きるとね、
肘をついて身を起こし
しばらく
彼を見詰めているの。



そして、
そっと髪を掻き上げ
おでこにキスする。



彼が目を開けると
頬に手を触れながら
静かに待つの。



「おはよう サガさん」

フニャフニャしながら
彼は両手を伸ばす。



その手を頸に巻かせて
静かに体重をかける。





んっ、
と甘える声を確かめて

もう一度
そのおでこに唇をあてる。




寄せた肌に
体調を確かめながら
そっと寄り添う。




『起きるか?』

耳元に囁けば



「うん」

と彼は答える。





起き上がり
ポヤンとしている彼の頭をクシャッと撫でて
サガさんはランニングに出る。




これは
連れてかない。
仔猫ちゃんもねだらない。




そう、
あとはね、
サガさんは
本を読みながら
彼の背を撫でるようになったかな。




眠ったら
髪を撫でる。




一時も
文字通り
手を離さなくなったわ。



僅かな寝息の変化も
耳を澄ます。

寝顔を窺う。

僅かな異変にも備える狼になっている。





「あのね」

胸に顔を埋めたまま
突然
彼が話しかける。




やだ
私がドッキリしちゃった。




『寝ないのか?』

サガさんは
落ち着いている。




「僕…………何かした?

   サガさん
   すごく気を遣ってる……。」



狼は仔猫を載せたまま
静かに身を起こし
ひょいと抱き上げて膝に座らせた。




『お前は何もしてない。
俺が負けたんだ。』



もの問いたげに
仔猫は
首をかしげる。



「僕が迷惑かけたんじゃないの?」

『お前はうなされたんだ。
   起こしても
   お前は起きなかった。
   俺には何もできなかった。』



膝に載せた仔猫を
怯えさせないように
狼は
言葉を選んでるようね。



『お前は俺を信じるか?』

「うん」

『怖い夢を見たら
   俺を呼べ。
   夢の中でいい。

    俺も
    そのとき
    お前を呼んでいる。

    俺はな
     お前に教えてるところなんだ。
     俺がいつも側にいることを。』


「そんなの……迷惑じゃない?」



そっと抱き寄せ
額に口付け
サガさんは言ったわ。



『俺はもう言った。
   お前がどこにいようと
   俺が守る。』



「あ……っ」

仔猫が甘い悲鳴をあげ
サガさんは彼を両手に抱いて
立ち上がった。




『もう支度をしなきゃ間に合わない。
   抱っこで行くか?』


「うん!」



お姫様だっこで
仔猫ちゃんは
お着替えに連れて行かれた。



開き直ったわねぇ。
サガさんたら。



あ、
でも、
その子は
あんよはできるのよ。



できることは、
させなさいね。
ためにならないから。



画像はお借りしました。
ありがとうございます。



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