《前回までのNeutral》
ジャイアントパンダ、コビトカバ、オカピという世界三大珍獣を見るために上野動物園にやってきた鈴木。その先に待っていた衝撃の事実とは！？
《つづき》（※長いです）
さて、上野動物園に入って早々、入り口近くで「これを見よ！」とばかりにババーンと現れたのは、ご存知ジャイアントパンダのリーリーとシンシン！
その推しメンっぷりはまさに不動のセンター。もちろん客からの人気もハンパない。
しかし！俺にとってパンダなんて、言うなれば前菜！三大珍獣とはいえ、もうテレビで見慣れてしまっているし、地元の王子動物園にだっているし、和歌山のアドベンチャーワールドに行けば5頭もまとめて見られるのだ。今回のメインディッシュは、パンダ以外の二つ！ コビトカバとオカピなのである。
パンダの檻を後にし、色々な動物を、じっくり眺めて回る。
そして、約2時間後、園内も出口に近づいてきたその時、奴はのっそりとその姿を現した。
行きますよ、このブログ初公開！
これが…
コビトカバだ！
ドーン！
おぉー小さい！カバにしては確かに小さい！だいたい人間の大人一人分くらいだ！
素晴らしい！これが…世界三大珍獣の一つ、19世紀に発見され、20世紀になってようやくその存在が公式に認められた、伝説のカバか… 現地の伝承では「黒いブタの怪物」とされ恐れられていたという。なんてロマン溢れる動物なんだ！
そんな想いに浸りながら、ずーっとコビトカバを眺めていた俺は、しかし急に、妙な違和感を覚え始めた。
ん…？なんだこの感覚は。パンダの時には全く感じなかった、この違和感は？
そのうちに俺は、ふとその原因に気がついた。
コビトカバ… 世界三大珍獣なのに…
人気ない！
誰も見てないっ！むしろみんな奥にいる普通のカバに群がってる！！ノーマルカバに圧倒的に負けてしまっている！
その後しばらく居ても、みんなコビトカバの前は「ふーん、小さいカバねぇ~」と言って通り過ぎていくだけ。
いやいや！こっちが世界三大珍獣だから！！ カバどこの動物園にもいるよ！コビトカバ貴重だよ！絶滅しかけてるよ！
俺の心の声は届くわけもなく、相変わらずお客さんはどんどん通り過ぎていく。
でも…まぁ、確かにコビトカバもちょっとアレなんですよね。インパクトがちょっとアレなんですよね。何より、小さいって言っても、「カバにしては」ってだけで、【実際結構おっきい】ですからね。これがもしウサギサイズだったら「キャーッ！カワイイぃーー！」ってなもんで女子のハート掴みまくりなんでしょうけど人間くらいありますからね。
気づくと僕も、より大きくてダイナミックなノーマルカバの方を観察してましたもん。
うん。
しかし！三大珍獣の本命はラスト！気を取り直して、いよいよ珍獣中の珍獣、オカピのいる室内檻へ。下半身はシマウマ、上半身はウマで実はキリンの祖先… どんななんだろう。
ドキドキ
キリンの檻を通り過ぎ、辿り着いた檻に…
い…いた。
これが「森の貴婦人」
オカピだ！
ダダーン！
圧倒的存在感。でかい。思ったよりでかい。競走馬くらいはあるんじゃなかろうか。
そのサイズと高貴な佇まいはまさに森の貴婦人。なにか、一種の、森の神を見るような、そんな恐れ多い気持ちにさせてくれます。20世紀になって発見された、極めて珍しい動物でもあります。
これは、ちょっと感動…コビトカバと違ってサイズも大きい。やはり大きな動物ってそれだけで目を惹きます。これはいい。フフフ。さぞかし、みんなもオカピに夢中になってるんだろうな。
クルッ。
誰もいないぃぃー！！てか奥でキリンの写真撮ってるぅぅー！！キリンのサイズ感に持ってかれてるー！
いやいやみんな！こっちが世界三大珍獣だから！！キリンどこの動物園にもいるよ！オカピ超貴重！！…ハァハァ
まぁ、いいけどね。
「世界三大珍獣は意外と人気がない」という新しい知識を身につけた俺は、その後も100%上野動物園を堪能した後、「俺が園長ならパンダと3つ並べて展示するけどな…」とぶつぶつ呟きながら、上野の喧騒の中に消えていきましたとさ。
おしまい。