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①
トラブル、クレーム、ファイアー(解雇)。
首は何本あっても足りず、職を転々とするが
極度の緊張におびえ、社会不安。
人と会うのが怖い僕は、社会不適合。
引きこもり生活に逆戻り、社会復帰失敗。
生きた心地がしない、危機感と警戒心。
安楽を求め、多量、依存、薬づけに。
僕が見た星空は ただの、
窓に付いた白い点々のカビだった。
入院中は、治療で一時的に回復したが、
退院後は、
医者の指示を守らず過剰に薬を服用。
本来、人を助ける薬は、僕を廃人にする毒だ。
太陽を手で隠し、細目で薬局へ。
棚の片っぱしからブツを袋に詰め、
なけなしのお金と引き換えに、安心を得た。
薬物乱用と大差ない。クスリをかき集め、
灰の波におぼれた僕に、襲いかかる副作用。
②
酔っぱらいみたいに体のバランスが取れず、
感情も制御不能で、情緒不安定。
落としたジャムが床に広がる。
衝動的に、いらだち、むかつき、
目につくもの全て、ぶっ壊したい。
数分後、部屋は荒れ果てていた。
泥棒が入ったのか。
倒れた棚、物が散乱。壁には大穴、床にはシミ。
カーテンが破かれ、窓はクモの巣状に割られ
ざわめく近所。赤々と染まった手に気づく。
ああ、やってしまった・・・
ニュースでは、殺人犯の供述が語られる。
"世の中に復讐したくて"
同感だ、僕も殺したい奴らが大勢いる。
今頃、高校の連中は受験勉強。
真っ当な人生を歩むだろう。
僕は周回遅れどころか、犯罪者の一歩手前。
世間から取り残されていく恐怖に押し潰され
あれほど敵視していた参考書を開いてみるが
薬のせいか、手が震えて集中できない。
溜まりだす焦燥感。
拳を振り下ろし、机に ひびが走った。
③
精神状態はジェットコースター。
浮き沈みが激しく、騒がしい脳内にて、
自問自答が大暴走。
もう一人の自分が、僕を闇へ引きずりこむ。
お前、何してるんだ。全部お前のせいだ。
鏡に向かって憤怒をぶつけ、
ガラスの音が耳に刺さった。
一転して、自己嫌悪に突入。
外界への矢印が内面に向く。
学歴も仕事もない、お前の名前は無職。
社会の誰からも必要とされない無能。
役立たず、ダメ人間、ゴミクズ、無価値。
お前は生きてていいのか。
再び迷いこんだ、自決への序曲。
白か黒、両極端の狭間で、せめぎ合う。
僕はやっぱり死ぬべきか。
地底を這いずり、深海をもがき、
抜け出せない洞くつで、あがき続ける。
死なないといけないのに。
頭をのさばる、どう猛な化け物。
正気を奪われ、狂気が乗り移っていく。
なんでまだ生きてるんだ。
重なる二人の声。どちらが本当の自分だ。
早 く 、 お 前 を 殺 さ な い と 。
(つづく)
♪イメージソング
クイーン
「アイム・ゴーイング・スライトリー・マッド」
邦題は"狂気への序曲"🎭
歌詞もMVもユーモアに溢れてますが、メロディなど全体的に少し不気味なのがいいですね
この話を書いていた時にずっと聴いていたのが、トレインスポッティングという洋画のサントラでした。高校時代にこれを見て、退廃的で陰鬱な雰囲気に魅せられ、主人公が矢継ぎ早に単語を連発するモノローグに舌を巻き…
今回はそれを意識して、暗いけどテンポがよくてスピード感のある文章を心がけました。
特に最後の自問自答は圧巻の真骨頂です!
(自分で言うのはすごく恥ずかしいですが😅)
次回は 4章 3話 天命
9/3(日)に投稿予定です🧢
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