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サクラが満開である。


今年は、まだ花見してないなぁ。

サクラの満開で思い出すのは、
多摩川の狛江市周辺のサクラだ。




今から20年ほど前のコトだ…

1992年の暮れにそれまで所属していたプロフェッショナルレスリング藤原組を離脱。
所属団体も無く、
もちろん練習する道場も無く、
金も無かったあの頃。

狛江の多摩川沿いに住んでいたオレは、毎日毎日…当時練習生だった稲垣克臣と同居し、多摩川河川敷で練習していた。
雨の日も風の日も雪の日も、多摩川沿いをランニングし公園でキックやレスリングの練習をしていた。
凍りつく様な真冬の「鉄棒」と「風の冷たさ」を覚えている。

毎日毎日、明日の見えない毎日。

だけど「いつかオレ達は世の中に出るんだ!」の希望だけで生きていた。

毎日同じ場所にいると、普段だったら見逃してしまう季節の移り変わりを感じるコトが出来た。

木や草や道まで凍るあの日。
そして氷が張らなかった日は「きっとこれから春になるんだ」と感じた。
葉も何も付いていない木が、徐々に何かを付けている。
よく見るとそれはサクラの蕾。
それからも毎日毎日、ただひたすらガムシャラに練習に明け暮れた。

「きっと春はやってくる…きっとオレ達にも…」

1993年の三月。
やっと新団体の設立のメドがたった。
相変わらず狛江の多摩川沿いで練習をしていたオレと稲垣。
フッと気付くと川沿いの木に何かが付いている。




サクラ。




日を追う毎に開く花。


気が付くと…
いつもキックのスパーリングをしていた公園はサクラが満開に…。
花見客がたくさんいたが、構わず練習。

公園でひと休みして、いつもの水道で水を飲んでいた時に1人の青年が話しかけてきた。




「す…鈴木さんですよね?…やっと見つけた!やっと会えた!自分は雑誌で鈴木さん達が多摩川の河川敷で練習してるのを見て、探して探して…やっと会えました!」

「どうやって探したの?この辺の人?」

「自分は蒲田(たしか…)なんですけど、河口付近からずっと探して来ました。3ヶ月もかかりました!」

「あ…そう…か…」

「どうしても、コレだけ伝えたくて!あの…僕は鈴木さん達のプロレスが大好きです。絶対に帰って来てください!それと頑張って下さい!待ってます!」




それだけを伝えると、手にしていた「六甲のおいしい水2L」を一本手渡しペコリと頭を下げ帰っていった。

公園の蛇口を止め、稲垣とその水を分け合って飲んだ。



ゴクゴクゴク…
うまい…
ペットボトルを稲垣に渡す…
空を見上げた…

それまで堪えていたが、
もう堪えきれなかった。
次から次へと涙が出て来た。
止まらなかった。
公園でペットボトルを飲み干し、もう一度見上げると…
そこには満開のサクラ…。





あの時のサクラの色は、忘れるコトのできない色になった。





あれから20年…
サクラは咲き続けている…

オレのサクラも…
咲き続けて…
いる…。

















サクラの色…街はサクラ一色…だけど新商品は真っ黒な、

鈴木みのるのオフィシャルグッズショップ
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