全日本プロレスの移動バスが老朽化により、廃車になるらしい。
一体、何年走ったのだろう…
一体、何人乗せて来たのだろう…
ババサンも乗ったらしい…
ミサワサンも乗ったらしい…
地球一周が約40000km。
一体、地球を何周回ったのだろう…
モノには感情がナイ。
意思もナイ。
クルマなんて、タダの鉄のカタマリである。
ガソリン入れて、オイルさして、タイヤがグルグルまわる。
タダそれだけである。
だけど、ずっと選手を乗せてきた。
あの街から、この町へ…。
プロレスを待っている人の元へ、レスラーを無事に届ける為に。
夢の世界を待つ人のところへ、夢を乗せて走った。
そう考えると、“ゴーイングメリー号”の様に、何かが宿っているような気がする。
日本中の人へ、きっとこんな風に言っていたんじゃないかと思う…
「みんな待っててね…チャンと選手達を乗せて行くから…もうすぐだから…」
そして乗っている選手達には、こんな風に…
「もうすぐだからね…みんなが待っているから…チャンと送り届けるからね…」
…と。
このバスは、日本中を一緒に走った「もうひとりの仲間」なのである。
クルマなんて、タダの鉄のカタマリである。
ガソリン入れて、オイルさして、タイヤがグルグルまわる。
タダそれだけである。
だけど…
「廃車」ではナイ…
「引退」なのでアル…。
たった今…
もうひとりの仲間は、
ラストランを走っている…。
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