朝、医療事故防止議員連盟があり、厚生省が提出している「医療事故調査委員会法案」について厚労省、法務省、警察省から、概要の説明を受けた後、同法に反対の立場の虎ノ門病院の小松秀樹先生、また、お子さんを医療過誤で亡くされた平柳さんのお話を伺いました。お二人とも、医師と患者の対立構造を持ち込むのではなく、相互理解と和解、その為の調整、メディエーションの重要性を再認識しました。
その為には医師の側も医療者コミュニティとして、医師の倫理、モラルをどう向上していくかも勿論必要です。さらにまた、不用意に行政が現場に介入する事によって、大変な悪影響をもたらす事も慎重に考えなければいけなりません。

昼は、私が発案者であり、医療現場の危機打開と再建を目指す、超党派議員連盟の準備会がありました。自民党から尾辻先生、民主党から仙谷先生をはじめ、九名の国会議員の先生方に発起人をお引き受けいただき、2月の中旬に医療議員連盟を発足させる事がついに内定しました。私達が、ここでまず目指したいのは現場の声、実態を直接把握、理解する事です。そして、
現在の医療崩壊は厚労省だけで解決できる範囲をもはや超えています。文科省、総務省、財務省、法務省、警察省、経産省などが確かな連携を図り、全体で解決していかなければなりません。非常に広範囲にわたる問題に対し、それぞれの機関が、その時々に、それぞれの政策で対応しているような現行の行政では、合成の誤謬になり、ちぐはぐな施策が思わぬ現場崩壊の悪循環につながっているのです。
我々は、そこに齟齬が無いかを確認し、法律でやるべき事、むしろ法律ではやるべきできない事、行政が責任を持つべき事、現場が責任を持つ事、官と民、そして当事者コミュニティとのバランスを調整していく事を目指しています。
現在、3月末に産科医を初めとした大量の医師たちの退職希望が出されている事が問題になっています。なんとか引き留まって貰うためには、医療現場がこれから改善の方向に行っているという事を、示さなければ、この国の医療は大変な事になってしまいます。

夜は東京大学医科学研究所の医療人材問題に取り組んでいるグループと意見交換を行いました。厚労省が主張している「医師不足は無い。地域偏在である」という説と、私が主張している「医師は絶対的に不足している。都市部でも」という説が、長年対立してきましたが、東京大学医科学研究所がひとつの答えを提示してくれました。そもそも厚労省の試算では前提が無茶苦茶です。医師が、80歳を超えてもなお働き続け、かつ、週70時間労働し続けるという前提に立った試算だからです。調査によれば、週70時間労働を引き続き続けたとして、通常通り65歳以下の医師数でみれば、2025年の時点で6~7万人の医師不足という結果でした。週70時間の労働という現在の事態も放っておける事ではありません。何故なら現在、過剰な労働時間による徹夜明けの手術が常態化しているからです。徹夜明けの人間はホロ酔い~酩酊と同じ程度の注意力だという報告があります。70時間労働をこのまま放置するという事は、睡眠不足医師に手術されるという事であり、医師不足は無いなどといって、何の施策もとらないのは、その事態を放置し続ける事を意味するのです。医療ミスはこうした根本的な事も直していかなければなりません。もし、欧米の常識である、週40時間労働で考えると、病院の医師だけで、2025年の時点で、少なくとも12万人以上不足する計算になりました。
今後もこうした深刻な問題に取り組んで行きます。