4月12日の参議院外交防衛委員会が流会になりました。その理由は、委員会開催定刻になっても自民党の出席議員が10人中3議員だったため、委員会定足数に達せず、民主党・新緑風会は退席し、流会になりました。これが事実です。にもかかわらず、一部のメディアは、麻生外相らが、温家宝中国首相来日による交通渋滞で一分ほど遅刻したため流会になったような報道をしています。
 私も、文教科学委員会で理事を何期も務めてきました。大臣などが一分くらい遅刻してくることはままあります。そうしたときは、通常、それくらいの遅れは待っています。さらにいえば、自民党議員が定刻に遅刻して、定足数が足りていないことなども頻繁にあり、事務局の職員が議員を急いで呼び込んで、定足数になるのをまって始めます。通常、遅刻では、委員会は流会にはなりません。
 では、なぜ流会になったのか?自民党の委員のほとんどが国会周辺にいなかったのです。国会周辺にいれば、与党の委員を全員かき集めれば、過半数を超え、定足数を満たし、委員会は、数分遅れで始めることができたのです。しかし、国会周辺にいないので、いつものようにかき集めることができなかったのです。外相の遅刻は全く関係ありません。なぜ、メディアは、自民党委員多数欠席により流会とかかないのでしょうか?メディアは、なぜ、自民党委員が多数欠席をしていたのか、その理由を調べて報じないのでしょう?国会運営については知り尽くしている記者のみなさんが、国会の規定上、流会の理由は定足数不足でしかありえず、委員ではない外相の一分の遅刻などではそもそも流会などにはなりえないということはよく知っていながら、なぜ、外相の一分の遅刻が流会の理由であるといったような心象を読者に抱かせるような、さらにいえば、細かいことをいう野党理事といった心象を抱かせるような報道をするのでしょうか?その意図・背景は何なのでしょうか?
 そもそも今の国会では、与党が委員会を開催したいときに委員会は開催されています。与党が通過させたい法案があるときにその法案を議題として委員会が開催されています。他方、野党が委員会の開催を要求しても、与党が開催したくないときには、委員会は開催されません。野党が質疑してほしい法案があっても、与党がしたくないときは、委員会は開催されません。という仕組みになっているのです。委員会の開催や議事内容は理事会で決めますが、理事会も与党が過半数を握っているからです。もちろん、通常は円満にことを進めてはいますので、与野党の合意のもとに委員会運営が行われてはいますが、通常、与党提出法案はほぼ全法案、委員会で審議されますが、野党提出法案のほとんどは、委員会で審議されることはありません。近年、委員会で審議された法案というのは、民主党が提出した日本国教育基本法案くらいです。我々は、毎年、多数の法案を対案として提出していますが、そうした野党法案を議題として委員会を開催してもらえないというのが実態です。是非、そうしたこともメディアは報じてもらいたいものです。