教育基本法改正案が成立いたしました。私は、連日、参議院教育基本法特別委員会の審議に、民主党日本国教育基本法及び関連法の提案者として、参議院第一委員会室では、総理、文部科学大臣、官房長官の横に、西岡武夫先生と私すずきかんが座り、答弁を続けました。
 民主党案は、私が、教育基本問題調査会事務局長として、二年ほど練りに練り温めてきました。そして、今年の五月にネクスト文部科学大臣として、民主党内を一人一人説得して、一人をのぞいて全国会議員の同意を取り付け、国会に提出をいたしました。まさに、私のこの五年半の集大成でした。おかげさまで、わが民主党案は、7割を超える国会議員から、また、教育現場から、有識者から、大きな支持をいただきましたし、教育政策については、民主党はもうバラバラだと言われなくなりました。
 そもそも、中央教育審議会答申から二年間、自民党と公明党のごく一部のメンバーによる完全密室協議を70回ほど重ねてた与党合意に基づいて、政府の教育基本法改正案が作成された結果、一体、この法律は、何を目指しているのか、よくわからない内容の法案になってしまいました。日本を愛する心や宗教的情操を涵養したいというのであれば、すっきりそれを民主党案のように明記すればいいと思いますが、公明党との妥協の結果、曖昧模糊とした条項が盛り込まれるだけの中途半端なものにとどまりました。宗教教育については、完全に公明党から釘を刺され、中央教育審議会の答申案よりも後退しています。
 総理などにも、今回の改正で教育現場にどういう影響をあたえるのか?と聞くと、理念法だから直接は現場を変えるものではないと答えます。結局は、改正の中身は何でもよくて、単に教育基本法を60年ぶりに改正したという実績だけ作れればよかったのです。
 では、民主党は何を考えたか?我々、具体的に教育現場を変える大きな第一歩にしたいと考えました。即ち、教育現場をよくするために、我々は、教育現場のガバナンスを改善し、教育現場への社会資源(人材と資金)の投入を増やしていきたいと思っています。そのために、民主党は、日本国教育基本法案でこの方針を盛り込み、さらに、参議院においては、このことを具体的な法律においても具現化するために、新地方教育行政法と教育振興法を同時に提出いたしました。
 民主党は、1956年以来続いている地方教育行政法が問題で、これを抜本的に改正すべきと主張しつづけてきました。日本の学校教育制度の最大の欠陥は、施設(ハードウエア)は市町村、人事(ヒューマンウエア)は都道府県、内容(ソフトウエア)は文部科学省と、三位バラバラで、たらい回しで、保護者や生徒の不安や不満にだれも責任をもって応える体制になっていません。現場の校長たちは、上部機関の顔色ばかり伺っています。こうした状況を一変させるために、私達は、各学校に地域住民・保護者・学校関係者・教育専門家からなり、前の二者が過半数を占める学校理事会を設置し、地域住民や保護者やボランティアが学校づくりに積極的に参画し、現場状況にマッチした問題解決をきめ細かく、タイミングよく行えるような学校現場のガバナンスを確立しようと考えてきました。
 また、小中学校の教育力を高め、先進国中最高の6割の高等教育費の家計負担比率をせめて米国並みの3割に引き下げるためにも、先進国中最低の教育予算の対GDP比率(3.5%)を、米国並(5.4%)に引き上げる、コンクリートから人づくりへの大きな第一歩としていくために新たな教育基本法を作りたいというのが我々の思いでした。