慶応義塾SFCの環境情報学部長の村井純教授が新著「インターネット新世代」を出版されたことを記念して、藤原洋さんたちのプロデュースでシンポジウムが行われました。今回の特徴は、コンサートとパネルディスカッションを一緒に行った点です。ピアニストの山岸さんの名演奏の後、村井純先生、グーグルの村上名誉会長、インターネット総研の創設者の藤原洋さんと山岸ルツ子さんと私とでインターネット新世代について語り合いました。
私は以前から、日本でも、芸術と議論を同時に行うような催しが盛んになればとずっと待望していましたが、ついに、こうした本格的なイベントが行われたことに大変うれしく思っています。藤原洋さんのプロジュースで、日吉にできた藤原洋ホールで行われました。素晴らしい音響のホールで名演を聞いた後でしたので、大変に議論も盛り上がりました。
 村井先生から、ワシントンでは、「ITまたはICT」というキーワードから「インターネット」というキーワードに変わりつつあること。「インターネットと民主主義」といったようなことも議論がなされているとの紹介がありました。私からは、改めて、インターネットは単なる技術ではなく、「哲学」であること、そして、単なる技術革命、ビジネス革命の道具ではなく、社会革命の道具であること。そして、村井純先生には、日本のインターネットの草分けとして、インターネット文化のもつ、「ボランタリズム」や「ベストエフォート主義(誰かに責任を押しつけるのではなく、みんなが全力を出しあい協働する)」といったことを若い世代に再びその意義を発していただきたいということをお願い申し上げました。今後も芸術とディスカッションのコラボ、スポーツなども加えて、こうしたタイプの知と美のイベントが日本でもどんどん盛んになってほしいなあと思いました。大変、楽しい催しでした。