※BL注意
僕らの日常、それは単純なものだ
朝6時。隣で寝てる人を起こさないように慎重に起きる。
洗面台に向かい、顔を洗って歯を磨く
服に着替えれば、朝ごはんを作るためキッチンへ向かう
今日の朝ごはんは何にしようか・・・
そんなことを考えながら、俺は今日も朝食作りに取り掛かる
昨日はトーストがメインだったから、今日はご飯を炊こう。
米を研いで炊飯器のスイッチをONにする
その間に、おかずの支度だ。
卵を2つ取り出し、目玉焼き作りに取り掛かる
フライパンにほどよく油を引いて、卵を割る。
あ、一緒にベーコンも焼こう。
そうだ、サラダも作らないと。
レタス、トマト、ブロッコリーを切って、ドレッシングとあえて食器に移し替える。
この間少し冷やしておこうかな。そうした方が美味しいし
目玉焼きとベーコンの様子はどうだろおう。
フライパンの中を確認しようとした時、俺は思い出した
味噌汁作るの忘れてた!
日本人の朝といえば味噌汁! ないとこんなの、朝食でもなんでもないじゃないか!
別に味噌汁ぐらいなくてもいいじゃないか。と思う人もきっといると思うけど
俺はそうは思わない。俺は、一食一食を大事にしたいんだ。
できるだけ昼.夜もこういったちゃんとした食事をとりたいけど
仕事をしていると、それは難しい場合もある。
だから朝ぐらいは、こうしてちゃんとした食事をとりたいんだ。
慌てて味噌汁作りに取り掛かれば、ご飯の炊けた音が聞こえる。
ご飯のと味噌汁のダシの匂いが部屋に漂ってきて、空腹を覚えた
6時50分。7時まであと10分だ
(大野さん、早く起きてこないかな・・・)
大野さんはいつも、7時に起きて、俺の作った朝食を作ってから家を出る。
毎日こうやって朝食を作るのは、面倒な時もある
だけど大野さんは、俺の作ったご飯を食べればいつも
(翔くんいつもありがとう。今日も美味しい)
と笑顔で言ってくれるんだ。
それがほんとに嬉くて・・・。
多少眠たくても、全然頑張れる。
俺って、もしかして単純か?
無意識にまた、時計の方をチラっと見る
時刻はいつのまにか7時5分を指していた。
大野さんはいつも7時ピッタリに起きてくるのに・・・
「大野さーん」
「・・・・・・」
呼んでみるが、返事はない。
しかたがないなと思いながら、味噌汁の火をとめ再び寝室に戻ってみる。
「大野さん、大野さん。起きてください! もう7時すぎてますよ?」
「ん、んー・・・」
「たく・・・、とりあえず、朝食だけ食べて、それから支度の準備してください」
「・・・ん」
まだ寝ぼけているのか、曖昧な返事を返された
でもそんなことはお構いなしで、手をひいてキッチンのあるリビングに向かう
「あれ、なんか・・・」
大野さんが口を開いた
ん?っと耳を傾ける
「・・・焦げ臭くない?」
「えっ? あぁ!!!」
しまった
ドアをガチャっと勢いよく開ける
やっぱりだ・・・
目玉焼きと、ベーコンが真っ黒焦げになっている
火を消し忘れてしまったみたいだ・・・
ど、どうしよう・・・。
このままじゃ家出るまでに間に合わない・・・でも・・・
「つ、作り直します。少しだけ、待っていてください」
「いやいいよ、ご飯と味噌汁だけで・・・」
「ダメです! 朝食は1日を元気に過ごす源なんです! しっかり食べなきゃなんです! それと、サラダもあります!!!」
「・・・う、うん」
作り直すと言ったものの、間に合うだろうか・・・。
7時25分。
あと35分しかない・・・
「・・・大野さん、10分でご飯食べ切れますか?」
「食べれるけど・・・なんで10分?」
「50分にしか、出来そうにないから・・・です」
「えーなんで? ゆっくり食べようよー」
「な、何言ってるんですか! 仕事、サボるつもりですか!?」
「サボるって、今日第3日曜日だから、仕事休みだよ?」
「・・・・・・あ!!!」
忘れていた!
だから大野さんは7時になっても起きてこなかったんだ
勘違いしていて、必死になって
大声で叫んでしまった
急に、羞恥が襲ってきた
「そ・・・そうでした」
「ね。俺いつまでも待つから、ゆっくり作って」
「・・・うん」
俺の勘違いで、大野さんに迷惑かけたのに
大野さんは一切イヤな顔をせず、ていうか笑顔でそんな優しいことを言うのだから
なんだか、恥ずかしい・・・
8時20分。
やっと朝食ができた
「「いただきまーす」」
いつももそれほど急いではいないけど
今日は落ち着いて、ゆっくりと食べられる
こうして休みがこぶったのも、久しぶりだからだ。
「大野さん、今日2人でどこかに行きましょうよ! 久しぶりに休みがかぶったんですから。どこ行きたいですか?」
大野さんは口に入れていたものを、ゴクンと飲み込んでから口を開いた
「今日は家にいようよ」
「え…でも、せっかくの休みなのに…」
思ってもいなかった答えが返ってきて俺は
少しだけしゅんとした
大野さんのことだから、釣りとかなんやらを誘ってくると思ったのに。
もしかして、俺と出かけたくない、とか…?
「あ、一緒に出かけたくないとかじゃないからね?」
「っ!!!」
図星をつかれて、少し冷や汗をかいた
「久々の休みなんだもん。2人でゆっくり過ごしたいなーって」
ふにゃりと微笑みながら
大野さんはそう告げ再び箸を進めた
2人でゆっくり……
「ごちそうさま。今日も美味しかったよー」
「あ、ありがとうございます」
俺にほほ笑みかければ
大野さんは食器をシンクに持っていった
俺もその後に続いた
丁寧に一つ一つ食器を洗う目の前の相手の肩に
ポテ、と顎を乗せてみる
「ん? なんか今日の翔くん、甘えんぼさんだね」
「…今日は、2人で一緒にいましょ?」
「もちろん」
「で、久々に…その…」
「…いーよ」
大野さんの頬が、少しだけ赤くなった気がした
なんか、俺の方も
恥ずかしくなるじゃんか…
好きです、大野さん。
ずっとずっと…。
そして俺らは
どちらからともなく、口付けをかわした。