毎日毎日、父に会いに行った。

パンパンに浮腫む足をマッサージしたり
他愛もない話をしたり

父はいつも笑っていた。

苦しむ顔。愚痴。悲しい顔。

私に見せる日はなかった。

いつも笑っていた。
だから、私はまだ実感がなかった。

日に日に痩せていく父を見て
やっと、受け入れ始めた頃に

沢山、父の写真を撮った。

10代の子供だ。
父を写真に撮ることなんかなかった。

だから、慌てて撮っていたのだ。
何かを残す為に必死だった。

父は、痩せている自分を残したくない。
と写真を嫌がった。

私は、写真を撮るのをやめた。
父の嫌な事はしたくなかった。

兄は、結婚式を早めた。
父に見せる為に。

結婚式を見る為
一時退院が許された。

家に父がいる事は、こんなに尊いものだったのか。

父の側を離れなかった。

あぁ、もっと父との時間を大切にすればよかった。と強く思った。

結婚式には出席出来ないかもしれない。
の医師の言葉を見事に裏切り

父は、兄の結婚式に出席した。