Yahoo!ニュースでいい記事を見つけました。


「負けるはずがない」という自信をつける方法



東洋経済オンライン 9月4日(日)6時0分配信 

史上最多のメダル獲得数となったリオデジャネイロオリンピック。中でも、金メダル4個、銀メダル1個という結果を残した女子レスリング監督、栄和人氏の手腕には注目が集まっています。
選手が入場し、マットに上がる直前まで声をかけ続ける栄監督。その言葉は試合前の選手に自信をつけるものであり、同時に競争激しいビジネスの世界にも役立つことでしょう。
『"最強"の結果を生み出す「負けない心」の作り方』の著書もある栄氏に、「絶対的な自信をつける方法」を聞きます。

■ 「やってきたこと」にフォーカスする

 試合直前の選手は、戦う本能がピークに達しています。目の前の対戦相手を倒すこと、ここにすべてを集中させています。
  吉田沙保里が「勝ちたいと思う気持ちさえも邪念」と言っているように、世界トップレベルの戦いの場では、「勝ちたい」「負けたくない」という“思い”すら、集中力の妨げになるのです。
  私がセコンドとして選手につくときは、選手の集中力や闘争本能、自信を強化するように心がけています。ですから、「絶対に負けるな」とか「相手は大して強くない」など、感情を左右するようなことは言いません。
  私が言うのは、「これまで世界一キツイ練習をしてきたんだ、お前ほど努力した選手はいない」ということです。
  「勝つ・負ける」というワードは、それ自体「勝ちたい、勝てるかも、負けるかも」という感情を呼び起こしてしまいます。それは、吉田の言う通り“邪念”です。
  だから、選手たちがこれまで「やってきたこと」を伝えるのです。やってきたことは事実であり、感情を動かすものではありません。

不確かなことばでは、自信はつかない

 今回のオリンピックで全階級メダル獲得を果たした男子柔道の井上康生監督、3大会ぶりのメダルを獲得したシンクロ団体の井村雅代コーチも、試合直前の選手にかけた言葉は「世界で一番キツイ練習をしてきたから自信を持て」ということだったそうです。
  ビジネスの世界でも同じでしょう。うまくいくかいかないかはあくまでも結果であり、やってみないとわかりません。
  「うまくいくに決まってる!」「大丈夫!」、そういう不確かな言葉では自信はつきません。
  確実に自信をつけるのは、事実。「やってきた」「努力してきた」という事実なのです。
  もし、自信を失いそうになったら、これまで自分がやってきたこと、努力してきたことを列挙してみましょう。あれもやった、これもやったと思い出すことで、やるべきことはやってきたという自信につながり、力が発揮できるはずです。

■ 弱点をひとつずつつぶすことで強くなる

 私の課す練習メニューはキツイことで知られていますが、ただキツイことばかりやるわけではありません。
  選手を指導するうえで私が意識していることは、「弱点を修正すること」です。
  「弱点にばかり意識を向けるとモチベーションが下がる」とか、「長所に意識を向ければ自然と弱点がクリアできる」という指導法もあるようですが、私はそういう方法をとりません。
  弱点は体や思考のクセであり、長い時間をかけて染みついてしまっているものなので、意識的に指摘しなければ改善しないのです。
  ですから、選手たちの弱点を細かくチェックして、見つけたらその場で指導しています。弱点を強化しまくるのが私の指導法と言っても過言ではありません。
  ビジネスの場でも、得意不得意があると思います。もちろん、それぞれが得意なことを生かして、チームとして仕事をする場面の方が多いでしょう。
  今はプロフェッショナルでありスペシャリストであることが求められていますが、それは「できないことがあってもいい」ということではありません。

事実は裏切らない

 ある程度の水準のゼネラリストであるうえでのプロフェッショナルであれ、ということではないでしょうか。
  そう考えると、弱点強化は大きな課題です。

■ 弱点は具体的にとらえて修正する

 私が選手を指導する際には、具体的な指摘をして具体的に修正点を伝えるようにしています。
  「もっと気合いを入れて!」という精神論は、今の選手には響きません。「もっと素早く!」と言っても、まだまだ抽象的です。
  「素早く」攻めるためには、相手と組み合った状態から、どのすきをついて、どんな動きをして攻めるのか。「素早い動き」というのを具体的にやって見せています。
  選手が「これが素早い動きなのか」と理解し、自分で再現できるようになるまで説明しながらやってみせます。
  “具体的に指摘する”というのは、やるべきことを細分化して、その一つひとつについて説明をして理解させ、再現できるようにすることです。
  指導者が遠くから檄を飛ばしているだけでは、“指導”になりませんし、“指摘”したことにもならないのです。
  ひるがえって、ビジネスでも弱点修正、弱点強化は重点課題です。たとえばあなたの弱点が「企画力不足」だとします。ただ単に「企画が立てられない」「新しい発想が生まれない」と悩んでいてもしょうがない。
  企画が立てられないのはなぜか。新しい情報に対するアンテナが鈍いのかもしれない、自分の“引き出し”が少ないのかもしれない。できない理由があるはずです。その理由を考えて、一つひとつ解決策を講じていけばいいのです。
  弱点を強化するプロセスでは、たくさんの努力をすることでしょう。ときには、今までに経験のないようなキツイ課題もあるかもしれません。ですが、それらをクリアしたとき、そのすべてが「やってきたこと」になるのです。そして「やってきたこと」は、「できないはずがない」「負けるはずがない」という自信につながっていくのです。
  事実は裏切りません。やってきたことだけが、あなたの力になるのですから。    栄 和人


▲9/4付Yahoo!ニュースより


既に会社組織の中での管理監督者業を引退しておりますが、

振り返ってみると、

管理監督者時代や現場作業員時代、管理監督者補佐役時代共に、

私自身、「自分に自信をもってやっていた」ことを再確認し、

そしてそれは、

自分がやってきた仕事という「事実」があったからこそ、

そう感じることができていたんだとも再確認しました。


時には地獄の底まで追い込まれたこともあり、

様々な経験をしてきたその事実が、

自分の「自信」へとつながっていたんだと感じます。


会社からのフォローがなく、

その仕事を全部自分一人で背負わざるを得なくなってしまったが為に、

体調を崩して「うつ」を再発し、

引退せざるを得なくなってしまいました。


今、

現役で管理監督者をやっている人、

そして管理監督者を目指している人は、

これまで自分がやってきた仕事の「事実」を信じてください。

これまでの自分の経験が自信へとつながり、

より良い方向へ仕事が進むことでしょう。

時には地獄の底へ追い込まれることもある。

でもそれが後々自分の自信へとつながることを信じて続けてほしい。

さらに会社側は、

私の様にたった一人に背負わせないように、

複数の管理監督者をおける体制づくりを第一に実現してほしいと思います。

つまり管理監督者になりえる器のある人を入れるということです。

さらに現管理監督者も自分の仕事をするのと同時に、

「後進の育成」は必ずやるように。

それも含めて「管理監督者の仕事」ですから。

そして何事も「経験」をさせるのです。

簡単に答えを教えない。

ヒントだけ与えて自分で考えさせ、

自分の力で解決することをさせるのです。

その経験が「自信」につながりますから。


吉田沙保里さんの様に「絶対的リーダー」が一人いれば、

その背中を見て後進が育ってきますが、

一方で考え方によれば、

その絶対的リーダーを超えることができる人がいつまでたっても出てこないと、

一気にその組織は崩れ去ります。

定期的に絶対的リーダーが育ってくる・育ち続けることで、

その組織はより強固なものとなることでしょう。



吉田沙保里さんは後輩を指導しながら「東京を目指す」と言っているようですが、

本当の理想は、

その代表争いの段階で「吉田沙保里さんを彼女の後輩が倒して出場を阻止する」、

そんな人が出てくるのを彼女も待っているのではないかな?

と感じています。

そうでなければ「チームとしての強さ」が途絶えてしまいますから。



企業の職場も同じ。

次々と新たな管理監督者が育ってくる職場こそ、

「強い職場」と言えるでしょう。