「心中・恋の大和路」納め | 近藤英恵オフィシャルブログ「はなえにっき」Powered by Ameba

「心中・恋の大和路」納め



東京は3回だけの公演、一昨日は大千穐楽でした。


中止期間を経て一気に放出されたような物凄いエネルギーを受けて、一夜明けてもまだ放心状態です。


ダメな男の人を演じたら天下一品、ご贔屓・和希そらさんの、ピュアで脆い色香の権化みたいな忠兵衛を観られて、私はこの夏に何の悔いもありません。


ラストの事切れる場面の美しさは勿論ですが、私は1幕最後の封印切りの狂気に毎回ゾクゾクしながら貰い泣きしていました。甘えたのお坊ちゃんが犯罪者になる瞬間。普通に生きてたら人様のあんな泣き笑いみたいな表情は生涯お目にかかれない、名作と名演がマッチしたお芝居の醍醐味でした。大暴れの後「先ほどは取り乱して…」みたいにご本人がスッとしてるのもこの後の破滅を確信して心がざわつきます。それにしても、ご贔屓のダメ男ステイタスがこの1年ほどでDV→不倫ときて、心中が加わりました。横領もか…。凄い。



和希そらさん以外の方の感想も忘備録として。


梅川 夢白あやさん

忠兵衛を見上げる横顔や首筋、涙をこぼすタイミングまで完璧な美。元々華奢なのに更に痩せられたようで、夢白さんの少しハスキーな声も廓の暮らしぶりが自然と浮かぶような説得力がありました。


八右衛門 凪七瑠海さん

知性と慈愛を感じるそれはそれは懐の深い八右衛門で、忠兵衛が甘えるのも、拝む姿に宿衆が引き下がるのも納得でした。魂のこもった絶唱に泣かせていただきました。


与平 諏訪さきさん

かもん太夫の前で憧れと恐縮が同居したなんとも言えないお顔をされてて、終始分を弁えた姿勢に与平は今後も堅実に生きてゆくのだろうなと思えたのはこのお話の数少ない希望でした。


藤屋 悠真倫さん

8年前の初見時は謎だった演出も悠真さんがされてると問答無用で納得。劇中は怖いお顔をされていたけれど終演後の和希さんのご挨拶を泣きそうな優しいお顔で見守っていらしてこちらが涙腺決壊。


孫右衛門 汝鳥伶さん

私の語彙では足りないくらい、心底凄まじい専科のお仕事。あれを泣かずに観られる人がいるでしょうか。


舞台でたくさん泣いたのに、和希そらさんの立派でちょっとユーモアを交えたご挨拶に「本当に、ご立派になられて…」とトドメの涙。終始感情が揺さぶられっぱなしで生きてるという感じがしました。


これでもう、あとは平和な残暑だわ…と思っていたら。



ディレイ配信!決定!

👏👏👏👏👏👏👏


演出上、フィナーレもカーテンコールもない作品なので毎回泣き腫らした挙句にテンションの浮上ゼロで日常に放り出されるのですが、大千秋楽は観劇後にディレイ配信決定のニュースを知り、なんとも嬉しい気持ちになりました。


あの光景が沢山の方に届くことになるのですね🏔大変、めでたい。。。


という、心中納めのきろくでした。