久しぶりに映画を見ました。


「余命10年」

(原作・小坂流加)





映画の元となった小説の作者、

小坂流加さんは、

三島市のご出身です。




流加さんのお姉さんは、

同い年で、ご近所さん。



娘さんも、すずと同い年で、

すずが居住地校交流に行くと、


「すずちゃん、久しぶり❗️」

「すずちゃんの絵本、友だちに紹介したよ❗️」

といつも声をかけてくれる、
しっかり者でやさしい女の子です。





話がそれましたが、


この小説は、
難病を患った流加さんご自身の

体験をもとに書かれたもので、
ハードカバー本の出版は2007年。


闘病シーンが加筆された文庫本が

出版された2017年に、
流加さんは亡くなられています。



その翌年の2018年、

私が書いた『すずちゃんののうみそ』が

絵本として出版されたのですが、


はじめての読み聞かせトークイベントに

流加さんのお母さまが来てくださって、



「絵本出版、おめでとうございます。

 娘も持ち込んだ小説が

 商業出版されましてね、

 ぜひ読んでください」


とおっしゃって、

文庫本をくださったのが、

この作品との出会いでした。



文庫本をいただいた当初は、

絵本出版の取材や講演のお話を

たくさんいただいていて、

すずが小学生になったばかりで

ドタバタしていて、


また、「余命」ということばに

なかなか読む勇気が出ず、

(私の死生観は後述👇)


しばらく小説を読む時間と心のゆとりが

ありませんでした。



やっと読めるようになったときに

読んでみると、もう号泣でした😭



それから数年後の映画化。



偶然、小松菜奈さんと松重豊さんが

近所で撮影されているところを

お見かけし、


なんの映画か情報がない頃でしたが、


三島で撮影…20代の女性…


「余命10年」の撮影では⁉️


と思っていたら、

本当にそうだったのです😃💖



そんなわけで、

私は小説を読んでから

映画を観たのですが、


どちらも若い人たちにぜひ

観て、読んでほしいなあと思いました。


大筋は同じでも、

押し寄せてくる感情の波の形が違うので、

涙の出方、号泣ポイント、

胸の締め付けられ方が違いました。




原作は、

自然でリアルで

みずみずしい描写

読み進むごとにぐいぐい引き込まれ、

どのシーンでもずっと目に涙が浮かんで

最後に一気に、だーっと号泣😭



映画は、

視覚的な情報が多く、

短い時間で物語をまとめてあり、

細部までこだわった音や速度の

美しい映像で、映像や音とリンクして、

原作とはまた違ったシーンで

ピンポイントでわーっと涙が出ました。


原作では主人公に、

映画ではお姉さん(黒木華さん)

に自然と感情移入していて

不思議な感覚でした。



原作本も映画も、


生きることがつらく感じたり、

生きる意味に悩んだり、

無力感を感じたりする人、する時期に、


ぜひ観て、読んでほしい


命の輝きに満ちた作品です。





私事ですが、

母が46歳、父が62歳で亡くなっているので、


私の死生観は、


高3のときに母を亡くしたときから

同じ年頃の人とはかなり違うと感じて、

苦しい時期がありました。


人間はいつ死ぬかわからない。


いい人でも悪い人でも

命の長さは関係なく、死は訪れる。


命は不平等で理不尽だ。


死と生は、そんなに遠いものではない。


風邪もひかない健康体で、

人情に厚く、朗らかで、

誰からもいわゆるいい人と言われた母が

心筋梗塞で突然亡くなって、


ぐるぐるとそんなことを考えていました。


暗くて冷めた18歳だったと思います😅


生きるしかないけど、つらい。


でも、身近な家族や友人を

悩ませてしまうから言えないし、

わかってもらえないだろうという

孤独感と諦めの気持ちもありました。


自分が置かれた状況に、


絶望もしないけど、

希望も持たない。


という感覚になっていきました。



ただただ、今を生きるしかない。


ひたすらやれることをやって、


なるべく美しいもの、

楽しいものを見るようにして、


今を生きていく。



だって、私もいつ死ぬかわからないし、

両親のどちらに似ても

長生きする気がしないから。


でもそんなドライな考えとは裏腹に、


命の理不尽さに

人一倍、憤りや悲しさを感じ、


50代になった今も、同年齢の人以上に

人の死に動揺し、悲しみ、

落ち込んでしまうのです。


母を亡くした18歳のときのまま。



死というものに対して、

若い時から達観していて強いんだか、

子どものままで弱いんだか、

わからない自分に戸惑うのです。



主人公の(そして流加さんの)、

余命10年と告げられ、

それを実感せざるを得ないほど

身体の機能が低下していく苦しみ。


20代の人にとって変化が大きい10年、

余命と呼ぶには中途半端な長さの10年を、

自分ならどう過ごすだろう❓と

あらためて考えさせられました。


20代のときからの10年、

50代からの10年…。



そして、


やっぱり、今を生きること。


がんばりすぎず、サボり過ぎず、

自分にできることを

1日1日淡々と、粛々と。

命の意味とか価値とか考え過ぎず、

人と比べ過ぎず。


それしかできないなあと思いました。



すずとの散歩コースや通学路が

映っていたので、余計に日常として

身近に感じられました☺️

(余命10年、公式Twitterより)



↓すず、7歳の七五三のとき。




小坂流加さん、

すばらしい作品をありがとうございます。



役者さんたちも、藤井監督の映像も、

自分が経験した、

頭の中で思考した日常のように、

身近ではかなくて美しくて、

素晴らしかったです。




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