コンプレックスの話 その2 | suzu-voice

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わたしの、すべて。




 

そんな頃

私はイギリスへ留学した。

 

イギリスへ行ったら

日本人の色白どころの騒ぎではない。

 

肌だけでなく髪の毛やまつ毛まで

色素がほとんどなさそうな

人たちがいる。

 

ここまできたら確実な違いで

うらやましいとかいうレベルを

超えている。

 

様々な国籍の人達がいたので

肌も髪も目も本当に

バリエーションがあって

見ているだけで楽しかった。

 

私の地黒も比較の問題であって

アフリカ系の人と比べれば

かなりの色白になるし

 

日本では色白でも

北欧系の人と比べたら

それほどでもなくなってしまう。

 

日本はみんな髪も目も肌も

それほど色が変わらないから

細かい所が気になるだけなのだ。

 

世界は広い。

 

そんな当たり前のことを

正に肌で感じることとなった。

 

 

イギリスは北海道より緯度が高い。

 

9月から渡英したので

もうすでにかなり涼しいを通り越し気味で

そこから冬に向かうにつれて

 

曇って太陽が見えない日が増えてゆき

日焼けの原因が日本に比べて

かなり少ない。

 

朝カーテンを開けたら

グレーのどんよりした曇り空。

 

夕方4時頃には暗くなってしまう。

 

ミラクルはこの後起こった。

 

 

日本は1年に四季があるけれど

 

イギリスでは

1日に四季があるといわれるほど

天候がきまぐれだ。

 

新しい年を迎え

暦上日本では春とよばれる月になっても

まだまだ寒かった。

 

一体いつになったら

暖かくなるの?

 

日本ではあんなに日光を避けていたのに

こんなに長い間浴びていないと

身体が太陽の光を

どうしようもなく求めるのだ。

 

これぞ人間の本能。

 

少し晴れると

寒いのに現地の人たちは

タンクトップ一枚で日光浴をする。

 

そこまではしないけど

日焼け止めもそこそこに

 

私もまだ弱々しい光を集めるように

太陽を浴びていた。

 

そうすると

せっかく薄くなった肌の色が

ここでも尚メラニン色素が元気で

着実に濃くなっていった。

 

ヨーロピアン達は

ギリシャやスペイン南部まで行って

思う存分気の早い夏を満喫して戻ってきた。

 

短時間に急にできる限り焼いたであろう

そんな非常に危ない焼き方。

 

そうすると

そもそもメラニン色素が多くないので

 

少し焼けたとしても

すぐに色が落ちてしまう。

 

私としてはうらやましい限り。

 

だが、そんな彼らが私を見て

 

suzu、どこで焼いたの?

 

どこってここだけど。

 

どこにも行ってないのに

そんないい色になってるの?

ズルい!!!

 

そういって口々に

私の地黒の肌をうらやましがったのだ。

 

美白至上主義の日本では

肩身が狭かった私が!

 

ガンジーとまで呼ばれた私が!

 

それだけでなく

住んでいた所は海の近くだったのだが

海沿いを歩いていると

見知らぬ人たちから

 

いい色だね!

 

そう誉められた。

 

最初は何の色?服?と

思ったこともあったけれど

一応確認してみたら

 

やはり私の肌の色。

 

私がずっとうらやんでいた

色白以上に白い人たちから、である。

 

言い換えれば

今までの何年もの努力が

無になっているともいえるが

 

もうそんなことなど

どうでもよくなっていた。

 

ビバ、地黒がワンダフルな世界。

 

それこそ全く無理せずに

自然のままでいたのに

私は何も変わっていないのに

 

そこにいるだけで

長年のコンプレックスを心から誉められる。

 

私はいる場所を変えただけ。

 

世界がひっくり返った瞬間。

 

この体験は本当に気持ちよかった。

 

 

だから私は

新しい世界に飛び込んだり

新しいことをするのを

止められないのかもしれない。

 

あの快感を

 

もう一度味わいたくて。

 

 

 

 

 

 
 

全然関係ないけど

うちの母作のナスのみそ田楽。

 

このこんがり具合。

絶品!